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結婚式は仲直りのチャンス?

手紙

結婚式は、新郎新婦にとって、新たなスタートの日。 でも、ただそれだけではありません。 疎遠になっていた友人と再会し、また仲の良いお付き合いが復活したり、仲の良い人とは、更に仲良しになったり… そんな人間関係の潤滑油にも、なってくれることがあるようです。 そして… こんなケースもありました。  新婦、麻里子さん(仮名)は、二人姉妹のお姉さん。 妹さんは、1つ年下です。 二人は小さい頃から、それはもう仲が良く、何をするのも、どこへ行くのも、いつも一緒でした。 悩み事は何でも相談し合い、隠し事もありませんでした。 しかし… 麻里子さんが21歳の時から、二人は一度も口をきいていません。 原因は、妹さんの恋人。 妹さんから話を聞き、実際にその恋人とも会い、麻里子さんは、どうしても賛成できない相手だと、感じたのだそうです。 ご両親も、交際に大反対でした。 妹さんは、「お姉ちゃんなら賛成してくれるはず」「お姉ちゃんなら協力してくれるはず」そう思っていただけに、かなりのショックを受けました。 二人は連日、大ゲンカを繰り返しました。 そしてやがて、同じ屋根の下にいながらも、目さえ合わせなくなってしまいました。 あれから10年… 結婚のことも、直接伝えることはしませんでした。 もしかしたら、結婚式に出席してくれないかも…そう思っていました。    ♡ 麻里子さんは結婚式の準備中、昔のアルバムを開きました。 目に飛び込んできたのは、妹さんと一緒の写真。数え切れない程たくさんありました。 アルバムの中の二人は、いつも楽しそうに笑っていました。 そういえば、親戚の結婚式に出席した時、二人で花嫁さんに憧れたっけ。 「どんな人と結婚するのかな?」「パパみたいな人がいいよね」 そんなことも話した記憶が…。 懐かしさと、仲直りできなかった後悔… 毎晩アルバムを開いては、涙していました。    ♡ そんなある日、仕事から帰ると、机の上に置いたアルバムの横に、見覚えのない箱がありました。 蓋をあけると… そこには、麻里子さんも妹さんも大好きな、ディズニーの音楽CDが入っていました。 そして… タキシードとウエディングドレスを着た、ミッキー&ミニーのぬいぐるみが、添えられていたのです。 その衣装は、妹さんの手縫いだと、お母様がこっそり教えてくれました。    ♡ 披露宴当日、新婦のお色直しの際、妹さんが会場前方に案内されました。 そこには、椅子が2つ。 会場係に促され、戸惑いながらも、その椅子に座る妹さん。 花嫁である麻里子さんも、並んで座りました。 その瞬間、会場が暗くなり、ディズニーの曲がかかりました。 スクリーンには、姉妹の思い出の写真が、写し出されていきます。 そして… その映像に乗せて、新婦、麻里子さんの声が、聞こえてきました。 あらかじめ録音された、妹さん宛の、お手紙の朗読でした。 当日はきっと読めないから…と。 そして上映のあと、姉の手から妹の手に、ブーケが渡されました。 幸せになって欲しい。それは喧嘩をしたあの時も、そして今も、大切な妹への変わらぬ想いでした。 メインテーブルに飾られた、ミッキー&ミニーのぬいぐるみも、二人の姉妹を、見守ってくれているようでした。    ♡ 心で想っていても、口に出せないこともあります。 手紙で想いを伝えることも、普段はなかなかできないもの。 だからこそ、結婚式・披露宴の日は、チャンスであるとも言えるでしょう。 日頃は伝えることができなかった、大切な人へのあなたの想い、思いっきって、伝えてみてはいかがでしょうか。  ※本文中の内容は、  事実に基づくフィクションです。続きを読む

嫁ぐ娘への親ごころ

サプライズ

従姉妹の結婚式直前、花嫁の父である叔父が、こう話していました。 「みんな『おめでとう』って、 言ってくれるけど、 何がおめでたいのかわからない」と。 娘が嫁ぐ日… 父親の想いは、とても複雑なのだと知りました。 嬉しいけど、寂しい…そんなやるせない想い、どうしたら良いのでしょうか? ある披露宴で、お父様が開宴中に、メモを持って来られました。 くちゃくちゃになった紙に、ぎっしりと文字が書かれていました。 「これ、テキトーに、 言ってもらえませんか?」と。 そこに書かれていたのは… 娘が生まれた時の想い、成人式を迎えた時の想い、彼を紹介された時の想い、そして、今日家を出る娘を、見送った時の想い…でした。 こんな大切な想いを乗せた言葉を、テキトーになんて、ご紹介できないと思いました。 開いては閉じ、また開いては読み返し、そして、握りしめ… それで紙は、くちゃくちゃになってしまったのだと、想像できました。 お父様に、こうお伝えしました。 「お父様が直接、 お嬢様に伝えてあげてください」と。 お父様は、「もう酔っ払っちゃってるし、 新婦の父親が喋るのおかしいし、 本当にテキトーでいいから… お願いしますよ」とのお返事。 でも、このお父様なら大丈夫と判断し、私は強行手段に出ました。 新婦のお色直し退席時、エスコート役のお父様が、高砂前までお越しになりました。 新婦も高砂席から、お父様の近くまで移動されました。 その瞬間、お父様に、先程の紙とマイクを渡し、「お願いします。 頑張ってください」と囁きました。 一瞬、睨まれた…?かも知れませんが、覚悟を決めたのか、お父様は、マイクをぎゅっと握りしめました。 そして、一言ひと言噛みしめるように、メモを読み始めました。 東北地方のお国言葉で…    ♡ お色直し退席後、お二人を追いかけました。 無茶振りを、お詫びするために…。 すると扉の外で、お父様と新婦は号泣していました。 お母様もご一緒でした。 お声を掛けられずにいると、私に気付いたお父様は、私の手をしっかりと握り、泣きながらこうおっしゃいました。 「ありがとう。 本当に、 ありがとうございました…」と。    ♡ 「大きくなったら、 パパのお嫁さんになる!」 そんな嬉しいことを言ってくれた娘。 でも、パパのお嫁さんになんて、絶対になれるはずないのです。 そんなの、誰もがわかってること。 わかっているけど、寂しいんです。 彼はいい人だけど、パパ自身じゃない。 本当に幸せにしてくれるのか、心配なんです。 おめでたいことだけど、おめでとうって言えないんです。    ♡ 新郎新婦の新たなスタートの日は、新郎新婦のご両親にとって、一つの修了式でもあります。 寂しい気持ちが湧き上がっても、何ら不思議ではありません。 それほど愛してきた、可愛い息子・娘の、巣立ちの日なのですから… でも、その想いを伝えることができたら、心の底から、「おめでとう」の言葉が、湧き上がるかもしれません。 寂しい気持ちも、ちょっぴり和らぐかもしれません。 そしてきっと、大切な息子さん・お嬢さんにとって、素晴らしい巣立ちの日になることでしょう。  ※本文中の内容は、  事実に基づくフィクションです。続きを読む

感動のシーンが、台無し!

ハプニング

結婚披露宴の、クライマックスシーンといえば、多くの人が、「ご両親への花束贈呈」を、思い浮かべることでしょう。 花嫁が感謝のお手紙を朗読し、花束贈呈へ…。 司会者という立場の私でも、感動し、涙が溢れることもしばしば。 ですから、親しいお付き合いがある方なら、なおさらのこと。 普段は厳しい上司が、上を向いて懸命に涙をこらえていたり… 仲の良いご友人たちの目から、とどめもなく涙が溢れ出していたり… 手紙を読む新婦の隣で、新郎の方が大泣きしていたり… 「絶対に泣かない!」と、豪語していたお父様が、声を上げて泣いていたり…。 この瞬間に立ち会うことができ、本当に良かったと思える、とっても素敵な感動シーンです。 暗い会場の中、スポットライトが当たり、新婦はお手紙を読み始めました。 一生懸命に想いを伝えようと、一言一言を大切に、そして、涙をこらえながら読んでいました。会場からは、すすり泣く声も聞こえています。 その時でした。 突然、美しいBGMのメロディーとは別に、水戸黄門の主題歌「あゝ人生に涙あり」が、鳴り響いたのです。 ♪人生楽ありゃ、苦もあるさ〜♪ そうです。それは、携帯電話の着信音でした。 会場にいる全員を驚かせた、持ち主がとった行動とは? 「はい、もしもし〜」出ちゃったんです、その電話に…。 親戚の叔父様でした。 「うん、オレオレ。」 「今〜?」 「うん、結婚式の最中。」 「なんか、 嫁さんが手紙かなんか読んでるとこ。」 「うんうん、そうそう、 花束贈呈とか言ってたな」 「えっ? なんか電波悪いんだか、 よく聞こえねえんだよな。 音楽かかってるし、喋ってるし。 こっちの声は聞こえてるかあ?」 「そうか、なら良かった」   :見かねた隣の席の人が、電話をやめるよう、ジェスチャーで促す。「わかってるよ、うるさいなあ〜」 「あーイヤイヤ何でもない。こっちの話。」   :  (中略)   :「結婚式って、 なっげーんだよ(長いんだよ)。 おー、多分、時間的には、 もうそろそろ終わると思うんだけどよ。」 「えっ?泊まらないよ。 今日、帰るよ。 飛行機じゃなくて、新幹線で帰る。」 「多分もう終わるから、余裕で間に合う」 「うん、悪いな、 まあ、そういう事情だから、 とりあえず切るわ。」 「いいよ、いいよ、 終わったらこっちから掛け直すから。」 「うん、それじゃあまた後で」 その時にはもう、新婦手紙も、花束贈呈も済み、新郎父の謝辞になっていました。    ♡ 悔しかったです。この人の電話を止められなかったこと。 この男性の大きな声と戦いながら、一生懸命お手紙を読んでいた新婦が、かわいそうでなりません。 新婦の声に集中しようと必死でしたが、どのような内容だったのかさえ、全く頭に入ってきませんでした。 きっとほとんどの出席者が、同じだったことでしょう。 そのかわり、男性のちょっと訛りが入った話し方、声の大きさ、喋った言葉は、今でもはっきりと覚えています。    ♡ 携帯電話については、マナーモードの設定を、あらかじめお願いしていますが、どうしても一人くらいは、鳴らしてしまうものです。 しかし、多くの場合、すぐに着信音を消すか、あるいは、急いで会場の外に出るか、どちらかの行動をなさいます。 しかしこの男性は、大声で会話を続けていたのです。 「そういう事情だから…」と、電話の相手におっしゃっていましたが、そういう事情だとわかっているなら、出ないで欲しかった…。 せめて電話の着信が、あと10分遅かったら…と、残念でなりません。    ♡ さらに言わせていただければ、赤文字の部分は「忌み言葉」です。 結婚式・披露宴の場では、使ってはいけない言葉とされています。 その忌み言葉を、よりにもよって、新婦のお手紙朗読に重ねるなんて…。    ♡ ついうっかりしてしまう、マナーモード設定。 しかし、もし忘れてしまっていたとしても、大人の対応をお願いしたいものです。 ※本文中のエピソードは、   事実に基づいたフィクションです。続きを読む