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結婚への想いと、愛の行方

出逢い

結婚生活には、たくさんの幸せがある一方、たくさんの試練もあるようです。 そもそも人は、なぜ結婚するのでしょうか。 愛する人と一緒にいたいから?幸せになりたいから?寂しいから? それとも…  加代さん(仮名)には、交際している大好きな彼がいました。 彼も加代さんのことが大好きでしたが、たった一つだけ、問題があったのです。 それは、彼が既婚者だということでした。 彼は旅行関係の会社を、経営していました。 大きな会社ではなかったため、社長である彼も、時にはツアーコンダクターを、担うことがありました。 二人にとって、その時がチャンスでした。 加代さんは臨時スタッフとして、そのツアーに同行するのです。 海外ツアーともなれば、1週間、10日と長期に及びます。 もちろん仕事ですから、旅行者のお世話をしなくてはなりません。 しかし、その間ずっと、二人は一緒に過ごすことができるのです。 それも何の心配もなく… そんな二人の関係は、彼の家族に知られることなく、気がつけば7年にもなりました。 彼は今も将来的にも、加代さんとの結婚は全く考えておらず、加代さんもそれを重々承知していました。 それでも、加代さんは彼のことが好きだったのです。 結婚できなくたっていい、ずっとこの幸せが続けばいい、そう思っていました。 しかし、加代さんも気がつけば30代後半。 周りの友人たちも次々と結婚し、ママになっている人もいます。 幸せな家庭生活の話を聞くにつれ、加代さんの心に変化が起こりました。 彼の家庭生活を、想像するようになってしまったからです。 これまで感じなかった寂しさが芽生え、更には、罪悪感をも伴うようになっていきました。 このままでは、いけないのではないか?    ♡ 39歳になった年、加代さんは結婚しました。 お相手はもちろん彼… ではありませんでした。 結婚相手(新郎)は、仲の良い友人の一人である、高校時代のクラスメイトだったのです。 加代さんの好みとは、全く正反対のタイプ。 ですから新郎に対しては、「大好き」とか「愛している」とか、そのような感情はありませんでした。 ただ真面目で優しいことから、「この人とだったら、 平凡でも穏やかな家庭を 築いていけるかもしれない」そう思っての結婚でした。 「愛」と「結婚」は違う、そんな風に理解したのでしょう。    ♡ 結婚披露宴は、出席者300名超の盛大なものでした。 お二人はとても幸せそうに見えました。 本当に素敵な披露宴でしたが、ただ一つ、気になることがありました。 それは、元彼を招待していたことでした。 自分の幸せな(幸せそうな)姿を、元彼に見せたかったからなのか… 自分自身の気持ちに、きちんとけじめをつけたかったからなのか… 新しい生活に向けての、何か強い決意があったからなのか…    ♡ 結婚式から1年が経ったころ、残念な噂が耳に届きました。 加代さんご夫妻が、「結婚生活にピリオドを打った」と…。 新生活は思っていた以上に幸せな毎日で、やはりこの人と結婚して良かったと、加代さんは心から思っていたようでした。 しかし結婚式から3ヶ月後が経った頃、元彼から海外ツアーの誘いが来たのです。 加代さんはその誘いを、断ることができませんでした。 当然のようにそれがきっかけとなり、元彼との交際が復活してしまったのです。 回を重ねても、夫は加代さんを疑うことはなく、純粋に仕事の旅行だと信じていました。 ですから加代さんは、夫との結婚生活を続けながら、元彼とも交際していけると思いました。 しかし、元彼と過ごす時間が幸せであればあるほど、別の人と一つ屋根の下で暮らすことに、苦しさを感じるようになっていったのです。 結局、加代さんは、結婚1周年を迎える前に、夫の元を去ることとなったのだそうです。    ♡ 結婚する瞬間の相手に対する想いや、結婚や結婚生活に対する考え方は、人によって様々だと思います。 そして、どんなに愛し合って結婚したとしても、いつの日か、心が変わってしまうこともあるかもしれません。 別々の道を歩む決心をする夫婦は、3組に1組と言われています。 でも、結果はどうであれ、一度は一生添い遂げようと心に誓ったはず。 たとえ愛は消えてしまっても、思いやりの心は持ち続けて欲しい…そう私は思います。 もちろん、末永いお幸せな結婚生活を、心から願っていることは言うまでもありません。 ※本文中の内容は、 事実に基づくフィクションです。 また個人的な意見であることを、 ご理解ご了承ください。続きを読む

結婚までの交際期間は…?

出逢い

初婚同士の夫婦が、結婚に至るまでの平均交際期間は、4.34年だそうです。  (国立社会保障・人口問題研究所       第15回出生動向基本調査) あなたは愛する人と、何年(何ヶ月)交際していますか? または、何年(何ヶ月)の交際期間を経て、結婚されましたか?  【1 麻由香さんのケース】 麻由香さん(仮名)は30歳を過ぎ、憂鬱な気持ちになっていました。 というのも、仲良しの友人たちが次々と結婚し、独身は自分だけとなってしまったからです。 こんなはずじゃなかった… 麻由香さんには、ちゃんと恋人がいました。 彼との交際が始まって間も無い頃から、麻由香さんは結婚を意識していました。 この調子でいけば、友人の中で1番早く結婚することになると、麻由香さんだけでなく、周りの人たちもみんなそう思っていたのです。 しかし、一向に結婚へと話は進みません。 麻由香さんの方から、何となく結婚を匂わせてみても、彼は全く興味を示しません。 だからと言って、決して不適切な関係ではなく、他に好きな人がいるわけでもありません。 二人の仲が悪いわけでもありません。 彼は結婚そのものに、興味がない様子でした。 麻由香さんは、彼のことが大好きでした。 彼は優しいし大切にしてくれるし、このままの状態でも十分幸せでした。 でも、子どもが欲しい麻由香さんにとって、やはり結婚は重大な問題です。 そして交際開始から10年が経った時、麻由香さんは悟ったのです。 「この時点で結婚する気がないなら、 この先もずっとないだろう」と。 麻由香さんは、大好きな彼と別れる道を選びました。 それから3ヶ月後、麻由香さんはお見合いをしました。 「あっ!」 初対面で運命を感じたそうです。 相手の男性も同じ想いでした。 お見合いから僅か2ヶ月後、二人は結婚式・披露宴をおこない、さらに1年後、待望の赤ちゃんが誕生しました。    ♡ 【2 加奈子さんのケース】 加奈子さん(仮名)と彼は、高校1年生のクラスメイトでした。 2年生の時には別のクラスでしたが、3年生でまた同じクラスになったのを機に、交際が始まりました。 結婚の日を迎えたのは、交際スタートから10年後のこと。 「実は私たち、 これまでに7回も別れているんです」 大喧嘩をして、別れたこともありました。 他の人を好きになったり、お互い違う相手と付き合ったことも、実際にありました。 「でも結局、数ヶ月後には、 なぜか元に戻っているんです」 そしてやっと、この人じゃないとダメなんだと、お互いに気付くことができたようです。 「もう絶対に別れることは、 無いと思います!」 何の不安も迷いもない幸せな笑顔を、二人は見せてくれました。    ♡ 【1 麻由香さんのケース】10年間愛し続けた男性と別れ、その直後に現れた運命の人…。 【2 加奈子さんのケース】10年間どんなことがあっても、ずっと繋がっていた運命の人…。 どんなに回り道をしても、途中横道に逸れたとしても、やはり結ばれるべき人とは、いつかどこかで、ちゃんと巡り逢えるように、できているのかもしれません。  ※本文中の内容は、 事実に基づくフィクションです。続きを読む

噂話から芽生えた恋心?

出逢い

友人から聞いた噂話。 「火のないところに煙は立たぬ」なのか、「根も葉もない噂」なのか… もしあなたなら、その真相を確かめてみますか?  「靖夫クンって、 梨花のこと好きみたいだよ」 梨花さん(仮名)がそう言われたのは、大学3年生の時でした。 靖夫さん(仮名)というのは、同じ大学の友人で、入学当時から仲良くしている友人の一人。 もう2年以上の付き合いになりますが、そんな様子は全く感じられません。 そして梨花さんも、靖夫さんに対して、友達を超えた感情はありませんでした。 「そんなことあるわけないじゃん、 誰がそんなこと言ったの?」 「本人がそう話しているらしいよ」 らしい…か…。 まあきっと無責任な噂話だろう、梨花さんはそう思いました。    ♡ しかしながら、そう言われると、何となく気にはなるもの。 靖夫さんの言動に対して、以前より敏感になってしまいました。 そして、そんな目で見るからか、その言葉は私に気があるからかも…?その行動は私のことが好きだからかも…?そんな風に思えてくるから不思議です。    ♡ では、靖夫さんの本心は、どうだったのでしょうか? 梨花さんのことは、友人としか思っていませんでした。 梨花さんが「やっぱり私のこと好きなのかも?」と感じたのは、気のせいだったことになります。 そして靖夫さんもまた、「梨花はお前のこと好きらしいぞ!」という話を友人から聞いていました。 つまり靖夫さんは、梨花さんが自分のことを好きだと、思っていたわけです。    ♡ お互いに、「相手が自分を好きなのだ」と認識し、「自分は相手を友達としか思っていない」という状態ですから、どちらも何も行動を起こすことなく、当然、何の進展もありませんでした。 しかし今度は、相手が何の行動も起こさないことに、お互いが疑問を持ち始めたのです。 「何で好きなら、 二人だけのデートに誘うとか、 してこないんだろう?」 「何で好きなら好きと、 言って来ないんだろう?」と。 そう考えると、何だかイライラしてしまうのです。 でも、もし告白されたらされたで、自分はどう対応するのだろう。 断るのか? 友達としか思えないと言えるのか? それとも、とりあえず付き合ってみるのか? うーん、だったら、告白されない方が、今のままずっと友達でいられるから、その方が良いのかも。 ああそうか、だから相手もそう考えて、特に何も言って来ないのか? 自問自答を繰り返す毎日でした。 後から振り返れば、この辺りから、お互いに相手を好きになり始めていたと、言えるのかもしれません。 この状態はその後も続き、気がつけばもう4年生になっていました。    ♡ そして迎えた夏休み、やっとチャンスが訪れました。 友人たちと夏祭りに出かけた日のこと、もうそろそろ帰ろうかという時に、二人はみんなとはぐれてしまったのです。 携帯電話は繋がりません。 このあとはメンバーの部屋で、飲み明かす予定になっていました。 人混みの中みんなを探すのは困難だと考え、直接友人の部屋に向かうことにしました。    ♡ 道すがら、「相手の想いを聞いてみようか…」二人ともそんな気持ちになっていました。 「梨花って、俺のこと好きなのか?」言葉にしたのは靖夫さんの方でした。 「何言ってるの? 靖夫クンが私のこと好きなんだよね?」 「エーーーーーーーーッ!?」    ♡ 友人の家に着くと、部屋に明かりが点いていません。 自分たちの方が早かったのかな?そう思ってドアノブを回すと、鍵はかかっていません。 声をかけながら部屋に入って行くと、突然クラッカーが鳴り響き、デコレーションケーキに、キャンドルの火が灯りました。 🎵happy birthday to you happy birthday to you happy birthday dear 梨花 happy birthday to you🎵 そう、その日は梨花さんのお誕生日でした。 「ねえ、どっちかから、 ちゃんと告白できたんでしょう?」 梨花さんと靖夫さんの手に、ケーキナイフが渡されました。 「はい、二人で将来の予行演習。 ケーキ入刀〜!」    ♡ あの日から5年、靖夫さん・梨花さんの手により、本物のウエディングケーキに、ナイフが入れられました。 そして、新郎新婦の生い立ちビデオでは、あの日のお誕生日ケーキ入刀シーンも、しっかりと映し出されました。    ♡ 友人たちの勘違いと、優しいお節介から始まった、新郎新婦の恋愛ストーリー。 もしかしたら、あなたの気付かないところでも、何かが始まっているかもしれません。 乞うご期待…。  ※本文中の内容は、 事実に基づくフィクションです。続きを読む

出逢いは自然を装って…

出逢い

親が薦める結婚相手。 「親が…」というただそこだけに、強い抵抗感を持っている人も、多いのではないでしょうか? しかしながら、「親の目」というのは、結構、的確なものかもしれません。  まどかさん(仮名)は、ある企業の総務課で、事務の仕事に携わっていました。 よく気が利き、物腰も柔らかで、社内だけでなく取引先からも人気があり、いわゆる「お嫁さんにしたい…」という言葉がぴったりの女性でした。 ある日、直属の上司である部長のところへ、来客がありました。 応接室への案内やお茶出しは、まどかさんの大切な仕事の一つです。 その日お越しになったお客様は女性の方で、まどかさんは初対面でした。 会社名を告げて面会を求められたため、個人のお名前はわかりませんが、会社名からすると取引先ではないようです。 部長からは、「5分ほど繋いでおいてくれる?」そのように言われました。 このようなことも、珍しくありません。 まどかさんは5分ほどの間を、その女性客との雑談でつなぎました。 特にいつもと何ら変わりのない、職場での一コマでした。    ♡ それから半年ほどが経ったある日、部長から声がかかりました。 「来週の金曜日、 会食に同席してもらえるかな?」と。 特に別の予定もなかったため、同行することにしました。    ♡ そして迎えた当日。 部長とともに食事会場に到着すると、そこには半年ほど前に来社された女性と、自分と同年代の男性が待っていました。 部長の奥様と息子さんだと紹介されました。 「実は妻の会社で、 当社の商品を扱ってもらうことが決まって…。 契約のことなど君にお願いした方が良いと思って、 同席してもらったんだけど…。 段取りとか説明とか、よろしく頼むよ」と。 ちなみに息子さんは、奥様の会社には全く関係ないとのこと。 「まあ何となく、 ついでに来てもらったというか…」 何とも歯切れの悪い言い方でしたが、特に気にすることもなく、仕事のことも含め話は盛り上がり、楽しい時間を過ごすことができました。 その後、契約手続きも順調に進み、今度はお礼にと、部長の自宅に招かれました。 このようにして、まどかさんは部長のご家族と、すっかり仲良しになりました。 そのうち息子さんと二人だけで、食事やドライブなどにも出かけるように、なっていきました。 そう、ごく自然に、まどかさんと彼は恋人同士になりました。 そして…初めての出逢いからおよそ1年後に、二人は結婚式を挙げました。    ♡ 職場で毎日まどかさんを見ていたお父様は、このような女性がお嫁に来てくれたら、どんなに良いかと思ったそうです。 しかし、パワハラだのセクハラだの、色々と問題になっているこのご時世。 話の持って行きようによっては、大問題に発展しかねません。 また双方が気に入るとも限らず、どちらにも嫌な思いだけはさせたくない、そんな気持ちもありました。 そこでまず、奥様にまどかさんを会わせたのだそうです。 奥様も一目でまどかさんを気に入り、協力してくれることとなりました。 息子さんにもまどかさんにも、その意図は隠したまま、なるべく自然な形で事を進めていったのです。    ♡ まどかさんは… 「うちの息子と会ってみないか?と もしも最初に言われたとしたら、 お断りしていたかもしれません。  だって上司ですから… 色々と考えてしまいます」 「食事会の時、彼が同席していたことに、 ちょっと違和感というか、 何か裏があるのでは?と感じましたが、 後から全てを知った時、 それも部長の思いやりや優しさだったのだと、 とてもありがたく思いました」    ♡ 自分が気に入った部下(特に男性)を、家に連れてくるお父様は結構多いようです。 上司という厳しい目で見て、「この人なら大丈夫!」と思った人なら、信じてみても良いかもしれません。 また息子や娘に合う人は、親の勘でわかるのかもしれません。 それでも、最終的に決めるのは、親ではなく本人です。 ですから、「親の世話にはならない!」と、片意地を張るのではなく、時には自然な流れに身を任せてみるのも、良いのではないでしょうか。 もしかしたらそれが、素敵な出逢いや、幸せな結婚に、繋がるかもしれませんから…。    ♡ 部下と娘の出逢いを、新婦のお母様が計画したケースは、こちらの記事をお読みください。  ※本文中の内容は、  事実に基づくフィクションです。  尚、親が薦める結婚について、  賛成や否定をするものではないことを、  ご理解ください。念のため…。続きを読む

出逢ったのは異国の地

出逢い

運命の人は、あなたのすぐ近くにいるかもしれません。 でも、近くにいたからって、近くで出逢えるとは限りません。 1万キロ以上も移動しなければ、出逢うことができなかったかもしれない、そんな運命もあったりするのです。  裕美さん(仮名)は23歳。小さい頃からお花が大好きで、フラワーコーディネーターの専門学校を経て、お花関係のお仕事に携わっていました。 大好きなお花に囲まれた仕事は、とても楽しく幸せなものでした。 しかし、仕事に慣れるにつれ、もっと深く学びたいと、思うようになっていきました。 そのために、新たな資格を取得しようと考えたのです。 仕事は一旦やめることを決意しました。 仕事を辞めてから学校に通うまで、少し日にちがありました。 長年の夢を叶えるチャンスでした。 裕美さんが抱いていた夢とは、オランダで毎年開催されている、フラワーパレードを、見に行くことだったのです。 裕美さんは意を決して、一人オランダに渡りました。    ♡ せっかく海外に行くのだから… 裕美さんは、オランダ以外の場所でも、観光を楽しみたいと思いました。 そして選んだところはイタリアのナポリ。 オランダからナポリまでは、実に1800キロ。 日本で言ったら、函館から福岡までの距離に匹敵します。 ミラノでもローマでもフィレンツェでもなく、なぜナポリを選んだのか? 理由は特にありませんでした。 ただ何となく、まるで何かに引き寄せられるように…    ♡ 宿泊先はホテルではなく、ユースホステルでした。 ユースホステルは安価というだけでなく、世界各国から旅人たちが集まり、交流の場、情報交換の場ともなるため、人気が高い施設でもあります。 また、その地域ならではの、体験プログラムなども用意され、一人旅の人にとっては、過ごしやすく安心して楽しめる、ありがたい施設とも言えるでしょう。    ♡ 裕美さんはそこに3日間滞在しました。 日本語以外の言葉は、ほとんど話せない裕美さんでも、各国の旅行者たちと友達になれました。 でもやはり日本人というのは、同じ日本人に安心感を覚えるもの。 言葉の通じない海外であれば尚のことです。    ♡ 裕美さんはそこで、一人の日本人男性と出逢いました。 彼は30歳になったのを機に、念願のヨーロッパ一人旅を実行したのです。 彼にとっては初めての海外旅行でした。 そして何と偶然にも、裕美さんと同じ群馬県人だったのです。 話が盛り上がらないわけはありません。 3日間はあっという間に過ぎてしまいました。 そして裕美さんは帰国、彼は次の目的地へと旅立ちました。    ♡ 普通なら旅の良き思い出の一つで、終わったかもしれません。 でも、二人は同じ県内に住む者同士。 せっかく知り合ったのだからと、帰国してからも度々会うようになりました。 最初は友達として。 そしていつしか恋人同士に…。    ♡ 裕美さんと彼は、ナポリのユースホステルで出逢ってから、ちょうど2周年の記念日に、結婚式を挙げました。    ♡ 住まいが近くでありながら、全く接点のなかった二人が、まさか異国の地で出逢うなんて、誰が想像できたでしょう。 二人が旅行先にナポリを選んだのも、そこに確たる目的があったわけでは、ありませんでした。 この旅に出た本当の理由は、念願のヨーロッパ旅行実現でも、憧れのフラワーパレード参加でもなく、二人が出逢うために、必要不可欠だったからかもしれません。 どこにどんな出逢いがあるかわからない。 だからこそ、人生って楽しいのかもしれません。  ※本文中の内容は、  事実に基づくフィクションです。  尚、この記事は、  一人旅を薦めるものでも、  旅先での出逢いを薦めるものでも、  決してありません。  危険に遭遇する可能性も考えられますので、  くれぐれも 慎重な行動をお願いいたします。続きを読む

出逢いは雑踏の中に?

出逢い

人と人との出逢いには、さまざまな出逢い方があります。 まさかこんな所に…というご縁も、少なくありません。 そう、あなたが道で見かけたあの人が、もしかしたら運命の人かもしれないのです。  フランス大好き、フランス人大好き、フランスのファッション大好き…。 咲子さん(仮名)は、ただそんなミーハー的な理由だけで、フランスの大学に留学しました。 それでも、フランスは咲子さんを裏切らなかった。 憧れのフランスで、想像していた通りの、楽しく充実した日々を過ごしていました。 そんな咲子さんは、大学の夏休みを利用し、日本に1週間ほど帰国しました。 実家での生活を満喫した咲子さんは、フランスに戻る前日、急に思い立って、新宿で開催されていたフリーマーケットに、一人で行ってみることにしたのです。 そこはたくさんの来場者で、溢れかえっていました。 その人混みの中、咲子さんは、フランスの大スターを発見したのです。 いえ、正確には、フランスの大スターにそっくりの男性でした。 咲子さんは、身体中に電気が走ったような衝撃を覚え、まるで金縛りにあったかのように、その場から動けなくなってしまいました。    ♡ 「どうかしましたか?」彼はフランス語で話しかけてきました。 「あまりに素敵で見とれていた…」そんなこと言えるわけもなく、「あっ、ごめんなさい。 友人によく似ていたもので…」と、咄嗟にそうごまかしました。 フランス語で応答した咲子さんに、ちょっと驚いたような嬉しいような、そんな表情を見せた彼は、「似ているって、 フランス人のお友達がいるのですか?」そう聞いてきたのです。 咲子さんは、フランスに留学していること、今は夏休み中で一時帰国していることを、緊張しながらも彼に話しました。 彼も自分のことを話してくれました。 ジャーナリストであること、フランスに在住していること、日本には仕事で来たこと、生まれて初めて日本に来たこと…。 そして偶然にも、彼の住まいと、咲子さんが通う大学は、同じエリアだったのです。 連絡先を交わした二人は、次回フランスで会うことを約束しました。    ♡ フランスで再会した二人は、その日から交際が始まりました。 二人が結婚したのは、それからちょうど2年後のことでした。    ♡ 二人が出逢ったのは、フランスではなく日本であったこと。 その日本に、咲子さんは1週間、彼はわずか3日間の滞在だったこと。 さらに彼は初めての来日だったこと。 都心のフリーマーケットという、異常なほどの人混みの中で、たった一人の人に目が止まったこと。 フランスでの生活エリアが、二人とも同じであったこと。 彼が独身で、恋人もいなかったこと…。 もう出来過ぎた話としか思えません。     ♡ 咲子さんがもし日本の大学生だったら、咲子さんがもしフランス語を話せなかったら、彼とたとえ出逢ったとしても、交際・結婚には、至らなかった可能性の方が、高かったと言えるのではないでしょうか。 フランスに住んでいたからこそ、愛を育むことができたと考えると、咲子さんがフランス留学を決意したところから、二人が出逢うための準備が、着々と進んでいたのかもしれません。    ♡ ただ道でばったり会った人、もしかしたらその人が、あなたの運命の人かもしれません。 ほんのわずかなご縁でも、人生を左右する大切なご縁という可能性も無きにしも非ず。 恋愛や結婚に限らず、ご縁は大切にしたいものです。 ただし、警戒心と節度もお忘れなく…。  ※本文中の内容は、  事実に基づくフィクションです。続きを読む

計画的、恋愛結婚?

出逢い

自分で決めたはずのことが、実は計画されたことだった。 自分で選んだ人が、実は親に選ばれた人だった。 あなたにはそんな経験、ありませんか?  金曜、夜11時、遊里子さん(仮名)の電話が鳴りました。 またか… 案の定、電話は母親からのものでした。 遊里子さんのお母さんは、バリバリのキャリアウーマン。 そんな母を尊敬し、「私もお母さんみたいになりたい」と、働きながら資格取得の勉強に励んでいました。 そんな遊里子さんですから、金曜日の夜でも家にいることがほとんど。 つまり、恋人がいるわけでもなく、同僚や友人と飲みに行くわけでもない、ということです。 母親もそれをよく知っているからこそ、電話をかけてくるのです。 要件は決まっていました。「遊里子ごめんね。 迎えに来て。お願い」 いちいち呼び出さなくても、バスかタクシーで帰って来ればいいのに… そう思ってはいたものの、結局いつも迎えに行っていました。    ♡ そんなある日、金曜、夜11時ではなく、金曜、夜9時に、電話が鳴りました。 時間は違いましたが、要件は一緒でした。 迎えに来て…と。 しかし、迎えに行くと、「これからカラオケに行くから、 遊里子も一緒に行こうよ〜」そう言われました。 メンバーは、お母さんの同僚や部下たちです。 迎えに行くたびに会っているため、顔くらいは知っていますが、だからと言ってカラオケに同行するほど、親しいわけではありません。 はっきり言って、行きたくありません。 一緒に行く理由もありません。 「一旦帰って、 また迎えにくるの大変でしょ? だったら、一緒に行こうよ〜」無茶苦茶な理由です。 まあでも、お母さんの言う通り、一旦帰ってからまた来るのも面倒くさいし、断るのもみんなに失礼かと思い、仕方なく同行することにしました。    ♡ みんなが気を遣ってくれたこともあり、遊里子さんは一人部外者でありながら、疎外感に包まれることもなく、そこそこ楽しく過ごすことはできました。 しかし、帰りの車の中で、「もう、二度とイヤだからね。 絶対にもう行かないからね。 こんなことするなら、 迎えにも行かないからね!」そう、強く抗議した遊里子さんでした。    ♡ そんなことがあったためか、ここ1ヶ月ほど、金曜の夜でも、お母さんは飲みに行ったりせず、バスで早めに帰宅するようになりました。 遊里子さんも、勉強に集中できるようになりました。 でもそれは、嵐の前の静けさだったのです。    ♡ 「今度の土曜日、 会社の人たちが家に来るから」突然、お母さんが言い出したのです。 ご近所の人や友人が家に来るのは、そう珍しいことではありませんでしたが、会社の人を家に招くことなど、これまで一度もありませんでした。 別に反対する理由はありませんでしたが、「来るのはいいけど、 私は参加しないからね」一応そう念押ししておきました。 しかし… 実際には、そういうわけにもいきませんでした。    ♡ その日をきっかけに、月に1度ほどの頻度で、会社の人たちが訪れるようになりました。 遊里子さんも、だんだんみんなと仲良くなり、お父さんも楽しそうに過ごしていました。    ♡ そんなある日、メンバーの一人から「チケットを貰ったのだけど、 よかったら一緒に行かない?」と、映画に誘われました。 ちょうど観たいと思っていた映画でした。 お母さんの方を見ると、「いいじゃない、 せっかくだから行ってくれば?」そう言われました。 誘ってくれた相手は男性でしたが、お母さんの部下であり、心配なことは何もないだろうと、お誘いを受けることに決めました。    ♡ そして当日。 映画を観て…食事をして… 次の約束まで交わして… 遊里子さんと彼との、お付き合いが始まりました。    ♡ 実は、全てがお母さんの計画通りでした。 振り返れば、金曜夜のお迎えとともに、このストーリーは始まっていたのです。 仕事も優秀で、人柄も良い彼を、上司であるお母さんがとても気に入り、「彼と娘を結婚させたい!」そう思ったのだそうです。 もちろん遊里子さんも彼も、そんなことは全く知りませんでした。 顔見知り程度から始めて、カラオケ、ホームパーティーと、徐々に親しくなっていけば、彼と娘は自然と結ばれるだろう、そうお母さんは考えたのです。 お父さんはそのことを知っていました。 家に招いたのも、お父さんに彼を見て貰うチャンスを、作りたかったという理由もありました。 あの時お父さんが嬉しそうにしていたのは、お父さんもまた、彼のことを気に入ったからだったのです。    ♡ 遊里子さんと彼がこのことを知ったのは、結婚式の3ヶ月前のことでした。    ♡ 「お見合い」のような形を取らなかったのは、お母さんと彼が、上司・部下の関係だったからです。 どちらかが気に入らないという可能性も、無いとは言えないため、その場合、部下に気まずい思いを、させてはいけないという思いやりでした。 自然と二人が恋愛できる環境だけを作り、あとは二人の気持ちに任せるという手法、あなたは、どのように感じましたか? もしかしたらあなたの人生も、あなたを想う誰かの計画に、導かれているかもしれません…。  ※本文中の内容は、  事実に基づくフィクションです。 続きを読む

交際のきっかけは遠足?

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男女が交際するきっかけなんて、どこに潜んでいるかわからないものです。 そして、後悔するような出来事も、幸せの始まりだった、ということだってあるものなのです。  千尋さん(仮名)が、これまで一番印象に残っている思い出と言ったら、中学時代の遠足のこと。 行き先は山でした。 千尋さんはソフトボール部のキャプテンで、明るく元気いっぱいの女の子。 そしてお転婆少女でもあり、遠足の日もテンションが高く、木に登ってみたり、わざわざ危ないところを歩いたりと、かなり危ない行動を重ねていました。 そして… 岩の上に乗って写真を撮ろうとしたその時、ツルンと足を滑らせてしまったのです。 あっ! 気がついたのは病院のベットの上でした。 心配そうに覗き込む、担任教師の姿が見えました。 先生の話によれば、あの大きな岩から落ちた瞬間、気を失ってしまったようです。 ここまで救急車で運ばれたとのこと。 「気を失って良かったと思うよ」先生は千尋さんの足を指差し、そう言いました。 「骨折してるから…」 「気を失っていなかったら、 きっと大騒ぎしただろうね」と。 あーあ、せっかくの遠足だったのに、先生にもみんなにも、迷惑かけちゃったな…。 骨折か…ソフト部のみんなにも、当分迷惑をかけることになっちゃうな…。 後悔と、反省と、申し訳なさで、泣きたい気持ちでした。    ♡ 数日後、登校した千尋さんは、仲良しの友人に、「彼にお礼言った方がいいよ」そう言われました。 「彼」とは、クラスの男子で、サッカー部の部長でした。 「何で?」と聞くと、「えっ? あっそうか、覚えていないんだね」そう言って理由を話してくれました。 あの岩から落ちた時、真っ先に駆け寄り、大声で担任を呼んでくれたのが、彼だったのだそうです。 そして救急車を呼んだ場所まで、おぶって運んでくれたのだとか。 えっ…私、あいつにおんぶされちゃったんだ…。 「彼、すっごくかっこ良かったよ。 みんなただ見てるだけだったのに、 彼の行動は本当に素早くて、 さすがサッカー部の部長って感じだった」 ありがたい気持ちよりも、恥ずかしさでいっぱいになりました。 「あの…ありがとう」そう伝えると、「無理すんなよ」彼は千尋さんの方ではなく、窓の外を見ながら、ぶっきらぼうにそう言いました。    ♡ 千尋さんは骨折をしてしまったため、もちろん部活には参加できません。 でも、せめて見るだけでも…と、毎日みんなの練習を見学をしていました。 部活が終わり下校する千尋さんの横には、千尋さんのカバンを持った彼が、毎日一緒でした。    ♡ あれから10年。 花嫁となった千尋さんの隣には、あの時と同じように、彼の姿がありました。    ♡ まだ中学生だった二人。 そんなに若くても、いえ、幼くても、将来の結婚相手を見つけちゃうなんて、本当に凄いなあと感じました。 もちろん、中学時代にこの人と結婚しようと、思ったわけではありません。 でも、いつも一緒にいることが、ごく自然だったのだそうです。 友達から恋人へ、恋人から夫婦へと、年月とともにその形が、自然と変化していっただけ。 お二人はこれからも、順風満帆の人生を、歩んでいかれることでしょう。 そう、きっといつも自然体で…。  ※本文中の内容は、  事実に基づくフィクションです。 続きを読む

キューピッドが結婚を決めた?

出逢い

ローマ神話に出てくる恋の神クピド。 英語名を、キューピッド(Cupid)と言います。 あなたはキューピッドの存在を、信じますか?  キューピッドが放った矢に当たった者は、恋心を起こすと言われていることは、あまりに有名です。 つまりキューピッドは、恋愛成就の手助けをしてくれる神様なのです。    ♡ 京介さん(仮名)は、25歳。 おとなしく、生真面目なタイプの男性でした。 彼には高校時代、好きな女性がいました。 しかし自分の想いを伝えることもできず、ただ遠くから彼女を見つめているのが精一杯でした。 彼女と再会したのは、卒業から1年後のクラス会でのこと。 高校時代と全く変わらない、彼女の可憐な笑顔を見て、思い切ってこの想いを打ち明けようか…そんな気持ちになりました。 ところが、すぐに彼女の身体に異変を感じました。 そう、彼女は妊娠していたのです。 すでに結婚し、4ヶ月後にはママになるそうです。 告白はしていませんが、完全なる失恋。 ショックでした。 「クラス会、行かなきゃ良かった…」そう落ち込むばかりで、彼女を祝福してあげようという、心の余裕はありませんでした。 でも、結婚してしまった彼女に、どうすることもできません。 この恋は、諦めるしかありませんでした。    ♡ それから2年、もう彼女を思い出すことも、ほとんどなくなった頃のことです。 「京介くん!」自宅近くの駅で、声をかけられました。 振り返ると、そこには、子どもを連れた彼女の姿がありました。 まだ学生である自分と比較し、彼女はとても大人っぽく見えました。 「幸せそうだね」そう言うと、 「うん、 この子が生まれてきてくれたから、 とっても幸せ」と。 しかし、なんとなくですが、笑顔に寂しさが含まれているような、そんな気がしました。 「今度、一緒にご飯でも行こうよ。」 これまで彼女の前では緊張して、話すことさえままならなかったのに、この時には不思議と、自然にそんな言葉が口をついて出ました。 「子ども、一緒でもイイかな?」「もちろんだよ!」 それから1週間後、駅前のファミレスに3人の姿がありました。 そこで彼女からこう打ち明けられたのです。 「実はね… 離婚しちゃったんだ…」と。 こんな小さな子どもを抱え、これから彼女はどうやって生きて行くのだろう…? 「また一緒にご飯食べようよ。」 京介さんは、そう言うのが精一杯でした。 「子ども連れてるとね、 外に出るのって色々と大変で…。 だから、次は家に来ない?」 そんな彼女の言葉に従い、次は家にお邪魔することとなりました。 一人暮らしの彼にとって、彼女の手料理は温かく、とても幸せな気持ちになりました。 それをきっかけに、その後も時々ですが、彼女の家に立ち寄るようになりました。 大学を無事卒業し、社会人となっても、それは変わらず、続いていました。 そして次第に、そこはとても居心地の良い場所と、なっていったのです。 でも、だからと言って、恋人関係に発展することもなく、ただ仲の良い友人といった関係でした。 ところが… この仲の良い友人関係に、終止符を打つ日が訪れたのです。 それも、ある日突然に…。    ♡ その日も、会社帰りに彼女の家に立ち寄り、彼女の子どもと遊んでいました。 その時です。 「パパ!」 子どもが叫んだのです。 びっくりして周りを見ましたが、そこには京介さんしかいません。 子どもの目は、まっすぐに京介さんを見つめていました。    ♡ この子が物心ついてから、近くにいた男性は京介さんだけ。 自分を可愛がってくれる京介さんを、父親だと認識していたのでしょう。 これまで、この子の父親になることなど、全く考えていませんでした。 彼女と付き合うことも、結婚も、特に望んではいませんでした。 ただ時々楽しい時間が過ごせるだけで、彼は十分幸せだったからです。 いえ、この関係を壊したくなくて、彼女を好きだという気持ちを、無意識に封印していたのです。 しかし、「パパ!」という思いがけない言葉に、ハッとしました。 このままではダメだ。 ちゃんとこの子の父親になろう、彼女を夫として支えていこうと、固く決心したのです。    ♡ 実は彼女の方も、彼のことが好きでした。 京介さんの優しさに触れるたび、心が救われるような気持ちになりました。 離婚に至った辛い思い出も、どんどん薄らいでいき、いつの間にか思い出すことも、なくなっていました。 でも、バツイチ子持ちという事実に、引け目を感じていたのです。 ですから京介さんと同じように、この関係を壊すくらいなら、このままがいいと思っていました。    ♡ 結婚披露宴での入場シーン。 新郎新婦の間には、子どもの姿がありました。 片方の手で新郎の手を、もう片方の手で新婦の手を、しっかりと握り締めていました。 その幼く愛くるしいながらも、どこか誇らしげな姿は、まさしく愛のキューピットに見えました。  ※本文中の内容は、  事実に基づくフィクションです。続きを読む

出逢いは足元にあった?

出逢い

ここ数年、いつでもどこでも、スマホを見ている人が多くなりました。 危険であることはもとより、周りで起こっている出来事などを、見過ごしている可能性もあります。 あなたは大切なこと、見逃してはいませんか?  雄一さんも、スマホの画面を見て過ごすことが、とても多い人でした。 歩きながらも、電車を待つ時も、電車に乗っている時も、気がつけばスマホを見ていたのです。 ところが、その日の会社帰りは違いました。 ここ数日、仕事がとても忙しく、かなり疲れが溜まっていたため、スマホの画面を見る元気もありませんでした。 珍しくスマホはカバンに入れたまま、ぼんやりと周りの景色を眺めながら、駅に向かって歩いていました。 そして、そのまま駅の改札口を抜け、ホームへ向かおうとしたその時、足元に何かが落ちていることに気づきました。 定期入れでした。 改札口が近かったため、雄一さんはすぐに駅員さんに届けました。 ちょっとだけいいことをしたかも…そんな清々しい気持ちになったのも、久しぶりのことでした。    ♡ それから数日後… 会社帰りに、またいつものようにスマホを見ながら、駅のホームで電車を待っていると、電話の着信がありました。 知らない番号からでした。 ちょうど自分の乗る電車が、ホームに入ってきたところでしたが、仕事関係の人からかもしれないと思い、その電話に出てみました。 すると… 「あの… 定期を拾っていただいた者ですが…」女性の声が聞こえてきました。 ああそういえば… 仕事に追われ、そんなことはすっかり忘れていました。 「お礼に、ぜひお食事でも…」彼女はそう言いました。 しかし、別に大したことをしたわけではないし、お礼などのお気遣いはいらないと、雄一さんはきっぱりお断りしました。 ところが、彼女の会社もこの駅のすぐ近くで、ちょうど帰るところだというのです。 「もしよかったら、 これからお会いできませんか?」と。 その日は特に何も予定がなかったため、「では、お礼とは関係なく、 一緒に食事に行きましょうか」と、その日に会うことを了承しました。    ♡ 結局その日は、ご馳走になってしまった雄一さん。 「では、次は僕に奢らせてください!」 それはごく自然の成り行きでした。 お互いの会社も近かったことから、以降お二人は会社帰りに、度々食事に行くようになり、自然とお付き合いが始まったのです。 そして2年の交際を経て、結婚の日を迎えることとなりました。    ♡ あまりにでき過ぎた話で、そんなこと実際にあるはずない、そう思うような出逢いでした。 あの日、もし雄一さんが、いつものようにスマホの画面を見ていたら、落ちていた定期入れに気づくことも、このお二人が結婚することも、きっとなかったことでしょう。 スマホの画面から、ちょっと目を離してみたら、あなたも足元に、幸せに繋がる何かを、発見できるかもしれません。  ※本文中の内容は、  事実に基づくフィクションです。続きを読む