作成者別アーカイブ: mei

出逢いは、代理婚活?

結婚したいけど出逢いがない…
そうお悩みの方も多いことでしょう。

 

理由は様々ですが、
出逢うための行動を起こしていない
もしくは、
出逢うための行動を起こせない
そのような人も大勢います。

 

ある新郎新婦の場合は後者、

つまり、
行動を起こせないタイプでした。

 

そんな二人が、
どうして結婚できたのでしょうか?

 

 

新郎45歳 国家公務員

新婦29歳 家事手伝い

 

二人ともおとなしいと言うより、
コミニュケーションが苦手でした。

 

ですから、
グループで遊びに行ったり、
サークルに入ったり、
合コンに参加したり…
そのようなことができるタイプでは、
全くありませんでした。

 

新郎は、
「自分は女性に縁がない。
 一生独身でも良い」
そう思っていました。

 

新婦は、
「実家暮らしで何一つ不自由なく、
 このままでも構わない」
そう思っていたのです。

 

しかし、
ご両親の想いは違いました。

 

新郎のご両親は、
自分たちの元気なうちに、
何とか結婚して欲しい…
そう願っていました。

 

新婦のご両親は、
30歳になる前に、
結婚して幸せになって欲しい…
そう願っていたのです。

 

とは言っても、
結婚相談所は嫌がるし、
息子・娘の性格では、
婚活パーティーなどもってのほか。

 

そんな時、
たまたまテレビで見たのです。

 

代理婚活」というものを。

 

両家の両親とも、
「これだ!」と思いました。

 

   ♡

 

「代理婚活」
「親コン」
言い方は色々だと思いますが、
読んで字の如く、

本人の代わりに、
親が婚活をおこなうものです。

 

スタイルも様々あるようですが、

このご両親が選んだのは、
お見合いパーティーでした。

 

参加するのは親のみ。

 

普通のお見合いパーティーと、
内容はほぼ同様のもので、
本人ではなく親だけが参加します。

 

親同士のお見合いが成立したら、
後日、本人同士のお見合いを、
おこなうというシステムです。

 

   ♡

 

両家とも、息子・娘には内緒で、
代理婚活を始めました。

 

しかし、
親の話やプロフィールを見ても、
なかなかピンとくる方がいません。

 

それでもご両親は諦めず、
幾度も参加を重ねました。

 

そして…

 

ついに「この人!」と思える人に、
巡り会うことができました。

 

しかしそれは、
相手のに対してのものではなく、
に対してのものでした。

 

つまり、
親同士が意気投合したのです。

 

「親を見れば子がわかる」

 

絶対にうまくいくと、
ご両親同士は直感したそうです。

 

ご両親の勘は見事的中し、
子ども同士もお互い一目で気に入り、
お見合いから3ヶ月後に、
結婚式を迎える運びとなりました。

 

   ♡

 

「代理婚活」は賛否両論、
どちらかと言えば、
反対の方が多いかもしれません。

 

・親と子どもの趣味は違う
・親の押し付け
・ファザコン・マザコン

 

そのような感じ方もあるでしょうし、
実際そういう人もいるかもしれません。

 

その一方で、

・親同士が仲良くしてくれる
・子どもと義父母の関係が円満
・親の反対がない

 

色々な長所もあるようです。

 

   ♡

 

この新郎新婦は、
16歳もの年の差婚。

 

もし恋愛結婚だったとしたら、
親の反対で成就しなかった可能性も、
無いとは言えません。

 

ですから方法はどうであれ、
きっとこれも、
運命の出逢いだったのだと、

私は思います。

 

 

※本文中の内容は、

  事実に基づくフィクションです。
  尚、「代理婚活」を勧めるものでも、
  否定するものでもないことを、
  ご理解・ご了承ください。

花嫁の手紙で、両親が見たもの

結婚披露宴で、

特に大切にしたいシーンの一つ、

新婦の手紙朗読〜ご両親への花束贈呈。

 

一番の感動シーンでもあります。

 

もしそんな時、

会場のスタッフによって、

こんなことがおこなわれたら、

あなたはどう感じるでしょうか?

 

 

 

【スタッフのミス・ケース1】

 前回の記事へ

 

 

【スタッフのミス・ケース2】

 

そのご披露宴は、
とても和やかに進行し、
いよいよクライマックスシーンである、
ご両親への花束贈呈となりました。

 

ご両家ご両親はお開き口付近に、

新郎新婦は高砂席の前に、
それぞれ並んでお立ちになりました。

 

つまり、
ご両親は会場の一番後ろ、
新郎新婦は会場の一番前。

 

ご両親と新郎新婦の間にテーブルがあり、
お客様が座っている状態です。

 

その位置で、
新婦は感謝のお手紙を読み始めました。

 

程なくご新婦のご両親は泣き始め、
新郎のご両親も目頭を押さえています。

 

会場のあちらこちらで、
すすり泣く声が聞こえていました。

 

その時です。

 

会場スタッフが、
ご両親のすぐ前を横切りました。

 

息子・娘の姿を、
泣きながら見つめている、
ご両親の視界を遮ったのです。

 

このシーン、
配膳係は邪魔にならぬよう、
全員会場から外に出ていました。

 

会場内にいるスタッフは、
ビデオさん・カメラさん・照明さん、
介添えさん・司会者だけです。

 

みんな持ち場を離れるわけには、
いきません。

 

つまり、
誰もご両親の前を歩いているスタッフを、
止めに行くことができないのです。

 

ご両親を撮影していたビデオさんは、
手で追い払うような仕草をしましたが、
本人は全く気付きません。

 

結果、会場スタッフは、
ご両親の目の前を、
4往復もしてしまいました。

 

それも、
実に堂々と椅子を持って…。

 

   ♡

 

理由がありました。

 

お手紙→花束贈呈→謝辞に続き、
エンドロールの上映があります。

 

新郎新婦のご両親にも、
エンドロールをご覧いただく予定でした。

 

立ったままではなく、
座ってご覧いただくために、
その時の椅子を準備していたのです。

 

ご両家ご両親がこれまで座っていた、
テーブル席に置かれた椅子を、
お開き口近くに移動させていたのです。

 

4脚ですから4往復。

 

それって、
お手紙の朗読中にやる必要が、
あるのでしょうか?

 

理屈はわかります。

 

あらかじめ椅子を移動していた方が、
謝辞の後、ご両親を、
スムーズに誘導できるからです。

 

お手紙の朗読中、
お客様の視線は会場前方にいる、
新郎新婦に向けられています。

 

ですからスタッフは、
お客様の後ろを通っていることになり、
何の抵抗も感じなかったのでしょう。

 

だからこそ、
実に堂々と椅子を運んでいたのです。

 

ご両親のすぐ目の前だということは、
全く気にせずに…。

 

   ♡

 

時おり涙を拭いながら、
朗読をじっと聞いていたご両親は、
途中からスタッフの動きに目を奪われ
感動も薄らいでしまったようでした。

 

さらにビデオカメラでも、
お嬢様のお手紙に涙するご両親の表情を、
納得できる形で撮影することは、

できなかったようでした。

 

   ♡

 

スタッフは日頃から、
厳しい教育を受けているはずです。

 

しかし現場はナマモノ。

 

全てのことを、
前もって予測し指導することは、
不可能とも言えるでしょう。

 

たった一人の、
たった一つの行動が、
大成功となるはずだった宴席を、
全て台無しにしてしまったとしたら、
それはとても悲しいことです。

 

現場に出たら神経を研ぎ澄まし、

現実をしっかりと見つめ、
細部にまで心を配ること。

 

それこそが、

どんな素晴らしいマニュアルにも、
勝るものなのではないでしょうか。

 

自戒の念を込めて…

 

 

※私個人の意見であり、
  人によって違いがありますことを、
  ご理解・ご了承ください。
  本文中の内容は、
  事実に基づくフィクションです。

新郎新婦は、どこから入場?

結婚式・披露宴に携わる人も、

人間です。

 

ミスをすることだってあります。

 

たとえベテランスタッフであっても、
いつも完璧とは限りません。

 

些細なミスはお客様にも気付かれず、
大きな問題にもならないでしょう。

 

でも、
ちょっとしたスタッフのミスが、
ちょっとしたでは済まされない、
こんなことも起こってしまいました。

 

 

【ケース1】

 

ある結婚式場で行われた披露宴。

 

新郎新婦のお色直し入場シーンで、
それは起こりました。

 

   ♡

 

「新郎新婦のご入場です!」

 

音楽がかかり、
会場が徐々に暗くなっていきます。

 

そして、
前奏のあと、
歌が始まるその瞬間、
扉が開いて新郎新婦が登場…

 

という手はずでした。

 

しかし、
扉を開けるタイミングの5秒ほど前
扉は開いてしまったのです。

 

5秒なんてどうってことない…

 

そう思うかもしれません。

 

しかし開いた扉は、
新郎新婦が入場する予定の扉ではなく、
すぐ隣の扉でした。

 

会場には、
ロビーに通じる扉が、
隣り合わせで2箇所あったのです。

 

驚いたのは照明スタッフ。

 

新郎新婦入場とともに、
お二人にスポットライト当てるため、
照明機材を入場予定の扉に向け、
スタンバイをしていました。

 

それなのに、
開き始めたのは隣の扉。

 

タイミングがわずかに早かったものの、
入場する扉が変更になったのかと焦り、
開きかけた扉に向けてライトを当てました。

 

スポットライト、
なんとか間に合いました。

 

会場のお客様からは盛大な拍手が、
湧き起こりました。

 

ところが…

 

観音開きの扉、
(2枚の扉が中央から両側へ開くもの)は、
片側(1枚)しか開かなかったのです。

 

そして、
盛大な拍手の中登場したのは、
新郎新婦ではなく、

何と会場の女性スタッフでした。

 

「えっ?」

「なになに?」

 

そんな言葉や笑い声が湧いたところで、
予定通りの扉から、
予定通りのタイミングで、
新郎新婦がご入場されました。

 

   ♡

 

サプライズ演出ではありません。

 

完全に女性スタッフのミスでした。

 

会場内は真っ暗だし、
どうせ見えないだろうとでも、
思ったのでしょうか。

 

しかし、
会場は真っ暗でもロビーは明るいのです。

 

ライトが当たらなかったとしても、
扉から外の明かりは漏れ、
シルエットは、はっきりと見えます。

 

そのタイミングで、
スタッフが会場に入ってくる理由は、
一つもありませんでした。

 

結果、

新郎新婦の入場の方が、

悪いタイミングだったという印象に、

なってしまいました。

 

   ♡

 

お色直し入場シーンは、

お二人が新たなお衣装で、

お客様の前に初めて立つ瞬間。

 

新郎新婦への注目度も高いシーンです。

 

それなのに、

一番注目されたのは女性スタッフ。

 

新郎新婦のお気持ちは、

言うまでもないでしょう。

 

   ♡

 

ケース2は、
明日に続きます。

 

 

※本文中の内容は、

   事実に基づくフィクションです。

結婚披露宴はドイツ風に?

日本にもたくさんの外国人がいて、
ただ街を歩いていても、
日本語以外の言葉が、
たくさん耳に飛び込んできます。

 

ですから当然のことながら、
外国の方と結婚する人も、
決して少なくありません。

 

ある花嫁のお父様は、
外国人と結婚する娘の披露宴に、
こんな企画を思いつきました。

 

 

新郎はドイツ人、新婦は日本人。

 

お二人はドイツにて、

結婚式・披露宴をおこないました。

 

ドイツの披露宴は、

日本とはあまりに違うものでした。

 

ドイツでの披露宴から、
もう数ヶ月経つというのに、
お父様はその様子について、
興奮気味に話してくださいました。

 

ごく簡単に言うと、
「披露宴」というより、
「ダンスパーティー」

 

踊ったり喋ったり食事をしたりと、
カジュアルな雰囲気で、
それが何時間も続くとのことでした。

 

で?

 

それを日本でやりたい!と。

 

   ♡

 

出席者のリストを拝見すると、
新婦の親族22名
新婦の友人 3名
新婦の両親 2名
新郎の母  1名
新郎・新婦 2名
合計30名でした。

 

30名でドイツの雰囲気?

 

無理…

 

そう思いました。

 

ほとんどがご親族で、
ご高齢の方もいらっしゃいます。

 

そもそも日本人は、
そのような場に慣れていません。

 

ご友人も女性3名しかいないため、
率先して踊ってくれるとは思えません。

 

そう申し上げましたが、
「それでもやりたい!!!」と。

 

   ♡

 

当日会場には、

ダンス用の板が設置されました。

 

ちょうど入場口から高砂に向かい、
一直線になるように配置し、

ダンススペースの左右に、

テーブルが置かれています。

 

そのダンススペースを、
バージンロードに見立て、
新婦はお父様とご入場なさいました。

 

ご披露宴の始まりです。

 

   ♡

 

ご親族の発声で乾杯がおこなわれ、
祝宴が始まりました。

 

皆様に本日の趣旨をお話しし、
ダンス音楽を通常のBGMより、
少し大きめにかけ始めました。

 

早速踊り始める人が…

 

いらっしゃるわけありません。

 

いくら働きかけてもダメです。

 

ごく普通のお食事会になっています。

 

さあどうしたものか…。

 

   ♡

 

お食事がある程度進んだ頃、
ふと閃いたのです。

 

そうだ!
ワルツにしよう!!と。

 

音響さんに無理を言って、
急遽ワルツの曲を用意して貰いました。

 

そうしたら…

 

1組のご夫婦が、
踊り始めたではありませんか。

 

そしてそれにつられ、
2組、3組と…。

 

それをきっかけに、
やがてディスコ音楽がかかっても、
みんな立ち上がって、
新婦の友人たちの動きを真似て、
ノリノリで踊ってくださいました。

 

最初にワルツを思いついたのは、
私の両親のことを思い出したからです。

 

高齢の方は意外と若かりし頃に、
社交ダンスを楽しんだ経験があるものです。

 

私の両親がそうでした。

 

若い時に習得したものって、
自然と身体が覚えているものです。

 

ラジオ体操と一緒です。

 

最初に踊ってくださった方は、
偶然にも社交ダンス教室に、
ご夫妻一緒に通っていらっしゃるそうで、
それも幸いしました。

 

お父様も大満足の、
「ドイツ」披露宴となり、

ご出席の皆様にも、

楽しんでいただけたようでした。

 

   ♡

 

この時はたまたま上手くいきましたが、
成功する確率は、
極めて低いものだったと思います。

 

国際結婚かどうかに関わらず、
何か特別な演出をおこなう際には、
ご出席者の年齢・お人柄・地域性を、
十分考慮なさった上でお決めになることを、
オススメ致したいと思います。

 

 

※本文中の内容は、

  事実に基づくフィクションです。

 

一目惚れ、その恋は叶うのか?

好きな人ができると、
何だか俄然やる気が出る人って、
世の中にはたくさんいるものです。

 

「火事場の馬鹿力」的なパワーには、
圧倒されるものがあります。

 

そしてその結果、
仕事も結婚も手に入れてしてしまった、
とてもラッキーな人もいるのです。

 

 

実さん(仮名)は、

ある一流大学に進学しました。

 

しかし、
せっかく第一志望の大学に入れたものの、
将来やりたいことも見つからず、
それゆえ勉強にも力が入らない。

 

合コンに誘われるもあまり気乗りせず、
口実を作っては断っていました。

 

つまり、
何に対してもやる気が起こらない、
そんな学生生活を送っていたのです。

 

ただそんな彼にも、
夢中になれる唯一の趣味がありました。

 

それは「車」

 

とは言っても、
まだ自分の車を持つには至らず、
もっぱら雑誌を読みふけったり、
たまにレースを見にいくことで、
その欲求を満たしている状態でした。

 

   ♡

 

そんなある日のこと、
車のショールームを訪れました。

 

以前からそのメーカーの車には、
強い憧れを持っていましたが、
ショールームに行くのは初めて。

 

その日も、
たまたま通りかかったので、
ふらっと入ってみただけでした。

 

そこで目に飛び込んできたのは、
キラキラと眩いほどの輝きを放っている、
憧れのカッコイイ高級車!

 

ではなく…

 

ものすごく綺麗な「女性」でした。

 

そして彼は思いました。

「この女性を自分の彼女にしたい!」と。

 

   ♡

 

彼のおこなったその後の行動は…

 

彼女に声をかけることでも、
ショールーム足繁く通うことでも、
ありませんでした。

 

では何を…?

 

一生懸命勉強することと、
その会社について深い知識を得ること、
この二つだけでした。

 

その結果…

 

   ♡

 

彼は入社試験を見事クリアして、
その会社の社員となったのです。

 

それも、
本社に勤務できることとなりました。

 

そして、
あの憧れの女性と、
ついに再会することができたのです。

 

彼女は何と社長秘書でした。

 

新入社員の立場から見たら、
高嶺の花です。

 

実さんは、
彼女にアタックすることも、
これまでの想いを伝えることも、
しませんでした。

 

その代わり、
ただひたすらに仕事を頑張ったのです。

 

彼女に認められたいとか、
カッコイイところを見せたいとか、
そんな想いは一切ありませんでした。

 

今、自分がやるべきことは、
一生懸命仕事を覚えることであると、
そう思ったからでした。

 

   ♡

 

気がつけば入社から10年。

 

ひたすら頑張ってきた実さんは、
支店長を任命される程になっていました。

 

本社から支店への異動。

 

彼女とは今後、仕事上の交流さえ、

無くなってしまうかもしれません。

 

今しかない!

 

そう思った実さんは、
思いきって彼女をスキーに誘いました。

 

   ♡

 

それから更に5年後、
二人は本社近くのホテルにて、
結婚式・披露宴をおこないました。

 

社長・副社長も、
お祝いに駆けつけてくれました。

 

「彼女にしたい!」
あのショールームでの想いが、
就職先を決め、
仕事上の出世も獲得し、
その時の女性は妻となったのです。

 

「いつしか、
 愛のシュプールを描いていました」

 

実さんはちょっぴり照れながら、
そう語ってくれました。

 

   ♡

 

一目惚れした時、
その次に起こす行動は実に様々です。

 

このご時世、
良からぬ方向に突っ走ってしまう人も、
残念ながら少なくないでしょう。

 

そんな中、

このようなお話を実際に伺うと、
恋愛って素敵だな、
愛の力って凄いな、
そう感じずにはいられません。

 

たくさんの人に、
素敵な出逢いが訪れますように…♡

 

 

※本文中の内容は、
事実に基づくフィクションです。

披露宴で新郎が泣いたら変?

結婚式・披露宴で涙するのは、
花嫁とその両親だけではありません。

 

新郎や新郎の両親だって、
同じように溢れる想いがあるのです。

 

新郎や新郎の両親が披露宴で泣くことを、
あなたはどう思いますか?

 

 

結婚式の1週間ほど前、
ある新郎のお母様のところに、
新郎の友人から電話がありました。

 

「新郎についての思い出や、
 今の気持ちなどを書いて欲しい」と。

 

余興で使うためという説明を受け、
当日持ってくるようお願いされました。

 

とにかく書いてと言われ、
お母様はどんな余興なのかもわからず、
思いついたことを箇条書きにして、
当日ご友人に渡しました。

 

   ♡

 

ご披露宴の開宴少し前、
そのご友人がお越しになり、
披露宴の進行について尋ねられました。

 

・ご両親への新婦の手紙があるかどうか?
・お色直し退場はどうなっているか?
この2点でした。

 

・花嫁の手紙は有り
・新婦はお父様とお色直し退場、
 新郎は一人で退場
そのようにお話ししました。

 

すると、
「できれば新郎の退席は、
 新郎のお母さんと一緒にして欲しい」
そうおっしゃいました。

 

そして、
「これ、お願いしたいのですが…」と、
レポート用紙3枚に書かれたメモを、
手渡したのです。

 

メモは新郎のお母様が書かれたもので、
それを退席の時に話して欲しい、
そういうことでした。

 

新郎にも新郎のお母様にも、
絶対に言わないでください…とも。

 

   ♡

 

新郎のお召し替えの時間になりました。

新郎が高砂を降りた時、
新郎のお母様をお呼び出ししました。

 

新郎もお母様も、
わけがわからないという表情で、
高砂席前に並んでお立ちになりました。

 

そして…

 

   ♡

 

新郎が大きな産声をあげ、
元気いっぱいで生まれてきた日のこと…

 

男ばかり4人の子を育てたご苦労…

 

子どもの頃の懐かしい思い出…

 

子どもたちのおかげで、
母である自分自身も頑張れたこと…

 

上司や同僚、友人たちへの、
感謝の気持ち…

 

新婦という素敵な娘ができて嬉しい、
家族みんなで大切にしていきたいこと…

 

生まれてきてくれて、ありがとう…と。

 

   ♡

 

メモをお手紙に変え、
お母様の想いをお伝えしました。

 

お二人の目からは、
涙が溢れて止まりませんでした。

 

そして、
このサプライズは全て、
ご友人が計画してくれたことを話すと、
会場から聞こえていたすすり泣く声も、
更に大きなものとなりました。

 

   ♡

 

新郎のお人柄からして、
事前にお母様との退席を打診していたら、
きっと断られたことと思います。

 

新郎のお母様も、
メモだったから書いてくださったものの、
お手紙としてお願いしていたら、
ご遠慮なさったことでしょう。

 

ご両親やご兄弟のことをよく知っていて、
特にお母様にはお世話になったことから、
ご友人たちは、
披露宴だからこそできることをしたい、
披露宴でしかできないことをしてあげたい
そう思ったそうです。

 

ご友人が、
「花嫁の手紙」の有無を確認したのは、
新婦に対する思いやりでした。

 

もし「花嫁の手紙」がなければ、
余興で使うつもりだったようです。

 

また、
花束贈呈時にしなかったのも、
新婦の手紙と被らないための配慮でした。

 

そのあとお母様はご友人たちのお席を訪れ、
「あんたたち何やってるのよ!」
と言いながらも、
ご友人たちの手をしっかりと握りしめ、
また目を潤ませていらっしゃいました。

 

   ♡

 

「マザコンだと思われたらどうしよう」
そう心配している新郎や、
「子離れできていないみたいで恥ずかしい」
そう思う新郎両親も多くいらっしゃいます。

 

「新郎が泣いたらおかしいですか?」
「新郎の両親が泣いたら変ですか?」
そういう質問も多く寄せられます。

 

考え方は人それぞれであり、
そう感じる人もいないとは言いません。

 

でも実際の披露宴では、
泣いている新郎や新郎のご両親、
たくさんいらっしゃいます。

 

そしてそれを見た出席者も、
その多くが共感し感動しているのです。

 

結婚とは、
「嫁をもらうこと」ではなく、
「親から独立し新しい家庭を築くこと」
という感覚に変化しています。

 

ですからご両親へ抱く想いは、
新婦だけのものではなく、
新郎のものでもあるのです。

 

また、
新郎の両親・新婦の両親、
どちらの親にとっても、
巣立つ子への様々な想いがあって、
当然と言えるでしょう。

 

泣きたければ泣けばいい。

 

伝えたい想いがあるなら伝えればいい。

 

一生に一度の結婚式・披露宴を、
悔いのないものにすることこそが、
一番大切なのではないかと私は思います。

 

 

※私個人の意見であり、

  他の考え方を否定するものでも、

  私の考えを押し付けるものでもないことを、

  ご理解・ご了承ください。

結婚式の引き出物は何?

何かとお金がかかる結婚式。

 

少しでも節約しようというお気持ち、
よくわかります。

 

しかし、
何をどう節約するのかは、
とても重要です。

 

もしあなたが出席者だったら、
このような「節約」に、
納得できるでしょうか?

 

 

新郎新婦は、

お二人とも30代後半。

 

結婚式場(ホテル)の予約から、
お二人の節約は始まっていました。

 

というのも、
新郎新婦がウエディング業界の方で、
内部事情にとても詳しかったのです。

 

ですから、
(詳細はお話できませんが)
予約も「邪道」とも言える、
特別な方法でおこなわれました。

 

ホテル側も受けてしまった手前、
お断りすることができず、
結婚式・披露宴は、
予約通りおこなわれることになりました。

 

とは言っても、

新郎新婦は決して悪い方々ではなく、
「節約」に関してだけ、
ただならぬ想いがあったようでした。

 

   ♡

 

結婚式当日、
待ち構えていたように、
婚礼担当者がやってきました。

 

そして、
バックヤードに連れて行かれ、
「これ、見てくれる?」
と言うのです。

 

引き出物の袋でした。

 

中を覗き込むと…

 

えっ?

 

ラッピングは、
明らかに素人がおこなったとわかる、
お世辞にも綺麗とは言えない物でした。

 

言い方を変えると、
貰って嬉しいという感じの物とは、
程遠かったのです。

 

「ちょっと酷いでしょ?」

 

担当者も困った様子。

 

打ち合わせの時点で、
引き出物が持ち込みだということは、
私も聞いていました。

 

このホテルは、
引き出物のみならず、
全てのものが持ち込み料0円なので、
お持ち込みをされるお客様も、
たくさんいらっしゃいます。

 

しかし、
このような引き出物は、
これまで見たことがありません。

 

さらに、
「この引き出物って、
 全部100均らしい…」と。

 

つまり、
100円ショップで引き出物を選び、
100円ショップのラッピング用品で、
新郎新婦が包装したものだったようです。

 

だから、
箱に入っていなかったり、
形がいびつだったり…。

 

ただ、
それらを入れる紙袋だけは、
ホテルの物でした。

 

紙袋が一番高い…。

 

「引き出物は、
 ホテルが用意したものじゃないって、
 アナウンスしてね。

 絶対に言ってね!」

 

そう念を押されました。

 

新郎新婦の職業柄、
ブライダル業界のライバルが、
上司や同僚として多数出席するため、
ホテル側が敏感になるのも頷けます。

 

   ♡

 

出席者は200名ほど。

 

お料理のお値段は、
婚礼料理の最低ランクを、
さらに下回るものでしたが、
全体の雰囲気はとても良く、
素敵なご披露宴になったと思います。

 

ただ、
ホテルでの結婚式・披露宴ですし、
会費制ではなかったため、
出席者もご祝儀は常識的な金額を、
包まれたことでしょう。

 

ですから、
お料理と引き出物に関して、
お客様に満足していただけたかどうかは、
疑問です。

 

特にブライダル業界の方は、
一般の人に比べ、
かなり見る目も厳しいでしょうから。

 

   ♡

 

テーブル装花や演出、
そして、
新郎新婦のお衣装も、
必要最小限の簡素なものでした。

 

つまり、
自分たちばかりにお金をかけ…
というものではありませんでした。

 

何か他にお金を集めたい理由が、
あったのでしょうか?

 

しかしながら、
「節約」も行き過ぎると、
「ケチった」と思われかねません。

 

そもそも、
結婚式・披露宴は、
結婚の報告だけでなく、
ご出席の皆様に、
感謝の気持ちを伝える場でもあります。

 

そして、
今後もお世話になる方々です。

 

出席してくださるお客様の立場になって、
おもてなしの方法を検討して欲しい…、
そう私は思います。

 

 

※本文中の内容は、
  事実に基づくフィクションです。
  また、
  「節約」を否定するものでは、
  決してありません。
  誤解なきようお願いいたします。

結婚相手は初恋の人

「初恋」って、
いくつの時でしたか?

 

幼稚園や保育園時代から、
小学生時代という人が、
多いのではないでしょうか。

 

「初恋は実らない」
よくそう言われます。

 

しかし、
初恋の人と結婚できた人もいるのです。

 

それも、
長〜い年月を経て…

 

 

信子さん(仮名)の初恋は、
幼馴染みの男の子でした。

 

彼とは家が近所で、
同じ幼稚園に通っていました。

 

物心ついた時から、
彼を含めた近所の子どもたちと、
毎日のように遊んでいました。

 

そんな彼に恋心を抱いたのは、
小学校に入学し、
同じクラスになってからのこと。

 

勉強も運動も優秀な彼が、
とても輝いて見えました。

 

しかし、まだ小学生。

 

自分の気持ちを打ち明けることもなく、
その後も幼馴染みとして、
普通に仲良く過ごしました。

 

   ♡

 

信子さんは大人になってからも、
彼を想い続けていましたが、
その想いを打ち明けることは、
ありませんでした。

 

彼が自分に、
特別な感情を抱いていないことが、
わかっていたからです。

 

叶わぬ恋なら、

友情を大切にしていきたい、
そう思っていたのです。

 

そして彼は、
25歳の時に、
違う女性と結婚しました。

 

ショックではありましたが、
いつかこういう日が来るだろうと、
覚悟していました。

 

ですから、
他の友人たちと一緒に、
結婚式・披露宴にも出席し、
友人として二人を祝福できたのです。

 

   ♡

 

信子さんもお年頃、
恋のチャンスも巡ってきました。

 

お見合いをしたことも、
お付き合いしてみたことも、
幾度かありました。

 

しかし、
いずれも結婚を決意するまでには、
至りませんでした。

 

理由は自分でもわかりませんでした。

 

もしかしたら、
心のどこかで、まだ初恋の彼を、
忘れられなかったからかもしれません。

 

   ♡

 

時は過ぎ…

信子さんはいつの間にか、
58歳になっていました。

 

そして、
58歳の信子さんは、
純白のウエディングドレスを着て、
バージンロードを歩いていたのです。

 

信子さんを迎えたのは、
初恋の彼でした。

 

約50年という長い年月を経て、
初恋が実った瞬間でした。

 

   ♡

 

実は…

 

彼の奥様は、
病で他界されました。

 

そして前年、
7回忌の法要を済ませたのち、
信子さんに交際を申し込み、
二人は結婚することとなったのです。

 

   ♡

 

結婚式には、
地元の友人たちが大勢駆けつけ、
まるで同窓会のような盛り上がりでした。

 

信子さんは彼に対する想いを、
これまで誰にも告白したことは、
ありませんでした。

 

でも、
友人たちは皆わかっていました。

 

だからこそ、
その純愛が実を結んだその日を、
心から祝福してくれたのでしょう。

 

彼もそんな信子さんに、
ウエディングドレスを着せてあげたいと、
結婚式・披露宴を計画したのでした。

 

   ♡

 

信子さんのご両親は、
ご健在でした。

 

ご両親へ、
お手紙の朗読と花束贈呈が、
おこなわれました。

 

「お父さん、お母さん、
 長い間ありがとうございました」

 

本当に長い間でした。

 

笑い声と泣き声が、
同時に押し寄せた、
究極のクライマックスシーン。

 

ご両親の、
涙と笑顔でくちゃくちゃになったお顔が、
とても印象的でした。

 

 

※本文中の内容は、
  事実に基づくフィクションです。

ウエディングケーキ美味しい?

披露宴をおこなったことがある人や、
準備中の人にとっては、
ごく当たり前のことであっても、
未経験の人にとっては、
知らないことも多いようです。

 

だからこんなことも、
してみたくなっちゃうのでしょうか?

 

 

近年、ウエディングケーキに、

生ケーキを選ばれるケースが、
多くなっています。

 

「ファーストバイト」の普及も、

影響しているのかもしれません。

 

(ちなみに、

 ファーストバイトとは、

 ウエディングケーキ入刀後、

 新郎新婦がお互いに、

 ケーキを一口ずつ食べさせ合うという、

 演出のことです)

 

また、

お二人ならではの、
オリジナルケーキを作って欲しい、
そのようなご希望も多いようです。

 

   ♡

 

あるご披露宴で用意されたのは、
いちごがハート形に飾られた、
可愛いウエディングケーキでした。

 

生ケーキです。

 

ファーストバイトもおこなわれました。

 

後程ゲストの皆様にも、
ケーキをお配りする予定で、
その旨のアナウンスも入れていました。

 

そして乾杯が済み、
歓談のお時間になって間もない頃、
一人の男性がケーキに近づいてきました。

 

20代後半と思われる、
新郎の同僚でした。

 

ウエディングケーキの近くには、
写真やビデオを撮っている方が、
数名いらっしゃったので、
その男性も写真撮影をなさるのだろうと、
思っていました。

 

ところが…

 

いきなり指をグサッとケーキに刺し、
ケーキを大きくすくって、
自分自身の口に運びました。

 

えーーーっ!?

 

もしかして、食べちゃった?

 

次の瞬間、

 

「まずーーーーーーーーーーいっ!」

 

口にケーキがいっぱいに詰まった状態で、
そう言い放ったのです。

 

それからしばらくの間、

 

「ウェーっ、マズイ!」

 

「マズイ!マズイ!!マズイ!!!」

 

「なんだこのホテルひでーなあ〜、
 ケーキ超〜マズイ!」

 

のたうち回るようにしながら、
大声で叫んでいました。

 

   ♡

 

マズイのは当然です。

 

そのケーキ、
生ケーキですが、
フェイク(偽物)ですから。

 

ファーストバイトでは、
食べることのできるケーキを、
新郎新婦は召上がっています。

 

どこを食べてもいいってわけじゃあ、
ないんです。

 

足が早い生クリームを、
常温で長時間放置することは、
食品衛生上、好ましくありません。

 

ですから、
デザートとして振舞われる場合でも、
入刀したものとは別のケーキが、
用意されることが多いのです。

 

入刀したケーキと、
同じものが振舞われる場合には、
入刀直前にケーキが登場するなど、
何かしら工夫がされているはずです。

 

入場前から会場に飾られているケーキは、
全部ではありませんが、

ほとんどがフェイクだと言えるでしょう。

 

子どもたちがケーキに近づいた際には、
食べてしまわないように気を配りますが、
まさか大人がそんなことをするとは、
想像すらしていませんでした。

 

ですからマイクを通して、
「このケーキは偽物なので、
 食べないでください」というような、
説明などもおこなっていませんでした。

 

大声で叫ぶ男性には、
会場スタッフが、
丁寧に説明とお詫びをしてくれました。

 

しかし…

 

ゲストに生ケーキが振舞われた際には、
また大きな声を張り上げていました。

 

「ここのケーキ、マズイぞ!」

 

「食わない方がイイぞ!」と。

 

ケーキを楽しみにしていたゲストには、
不快感を与えてしまったようです。

 

   ♡

 

このウエディングケーキが、

たとえ本物だったとしても、
この男性がした行為は、
決して許せるものではありません。

 

いえ本物だったら余計に、
誰かの指が入ってしまったケーキを、
振舞って貰っても嬉しくありません。

 

   ♡

 

この日、

2つのことを学び反省しました。

 

「自分が知っていても、
 他の人が知っているとは限らない」

 

「自分で思っている常識と、
 他の人が思っている常識は、
 必ずしも一致するとは限らない」

 

以降、
ウエディングケーキが、
生ケーキの場合には、
必ず付け加えることにしました。

 

「後程このケーキを、
 皆様にお召上がりいただきますので、
 お手を触れないよう
 ご理解・ご協力をお願いいたします」と。

 

   ♡

 

本物であれ偽物であれ、

飾られているウエディングケーキは、

お召し上がりになりませぬように。

 

フェイクの場合には、

お身体への影響も懸念されますので…。

 

 

※本文中にも記載した通り、
  入刀用の生ケーキは、
  全てフェイク(偽物)という訳では、

  ありません。

  本物の生ケーキを使用する場合もあります。
  誤解なきよう、宜しくお願いいたします。

感動スピーチが招いた疑惑?

結婚式・披露宴に、
感動はつきもの。

 

まだ式が始まる前、
新郎新婦を見た瞬間から、
泣き始める人も多く見かけます。

 

親しい人が幸せな日を迎えるのは、
それほど嬉しいものです。

 

しかし、
こんな風になってしまうと、
色々大変かもしれません。

 

 

小百合さん(仮名)は、
28歳OL。

 

高卒なので、
入社からおよそ10年。

 

上司からも期待され、
同僚からも頼りにされ、
後輩からも慕われて…

 

気がつけば、
会社になくてはならない存在に、
なっていました。

 

仕事も会社も大好きで、
結婚をしてからも、
勤務は続けていく予定でした。

 

しかし、
急に新郎の転勤が決まったのです。

 

悩んだ末、
小百合さんは会社を辞め、
新郎についていくことを決意しました。

 

   ♡

 

退社から1ヶ月後、
結婚式・披露宴がおこなわれました。

 

小百合さんの上司も同僚も、
大勢出席してくれました。

 

新婦側の主賓は、
直属の上司である部長でした。

 

そして、
主賓の祝辞が始まったのです。

 

   ♡

 

お祝いの言葉を述べたあと、
思い出を振り返るように、
語り始めました。

 

入社時の面接官として、
初めて小百合さんに会った時のこと…

 

当時高校生だった小百合さんは、
可愛いながらも、
芯のしっかりとした女の子だったこと…

 

小百合さんの採用を決めたのは、
自分だったこと…

 

入社してからも、
ずっと見守っていたこと…

 

仕事に対して一生懸命頑張っている、
小百合さんの姿…

 

愛情あふれる言葉に、
新婦や会社の同僚のみならず、
新郎側のお客様も感動し、
目頭を押さえている人もいました。

 

5分が過ぎ、
読んでいた原稿を閉じ、
そろそろ祝辞も結びに…

 

誰もがそう思い、
部長ご本人も、
そういう予定だったと思います。

 

しかし…

 

ご自身の話しに、
感情が高ぶってしまったのか、
祝辞は締めに入るどころか、
逆にヒートアップしてしまったのです。

 

つまり、
原稿にはなかったことを、
話し始めたようでした。

 

いかに小百合さんが素晴らしいか、
詳細に語り出したのです。

 

涙声でした。

 

そして…

これからも、
ずっとそばで働いてくれると思った…

 

おめでたいことだから、
喜んであげなきゃいけないけど、
会社を辞めてしまったのは悔しい…

 

新郎に小百合さんを、
奪われたような気持ちでいる…

 

その時にはもう、
涙声をはるかに超え、
嗚咽になっていました。

 

感動に包まれていた会場も、
次第にスーっと温度が下がるような、
そんな雰囲気になりました。

 

「なんかやばくない?」

 

「何かあったのか?」

 

「普通じゃないよね?」

 

そんな囁き声も聞こえてきます。

 

泣きながら聞いていた、
小百合さんの同僚や後輩も、
なんだか冷めたような表情に、
なってしまいました。

 

   ♡

 

きっと部長は小百合さんを、
「部下として」可愛がっていただけ、
だと思います。

 

小百合さんは、
本当に優秀な社員であり、
良き部下だったのでしょう。

 

だからこそ、
結婚は喜ばしいことだけど、
会社は辞めて欲しくなかった。

 

その結果、
まるで恋人を取られたかのような、
恨み節になってしまったのでしょう。

 

娘を嫁に出す父親の気持ちと、
同じような想いだったのかも、
しれません。

 

初めの5分間だけで話を結んでいたら、
とても素晴らしい祝辞、
部下思いの良き上司…と、
高評価だったことでしょう。

 

残念ですし、
気の毒でなりません。

 

   ♡

 

感情をコントロールするのは、
とても難しいものです。

 

でも、
結婚式・披露宴の席で、
特に男性があまり泣き過ぎると、
良からぬ想像をされかねません。

 

本人のみならず、
新婦にも、
疑いをかけられるなど、
迷惑をかけてしまう可能性もあります。

 

感激屋の人、
すぐ大泣きしてしまう人、
感受性が豊か過ぎる人は、
くれぐれもお気をつけください。

 

自分への戒めも込めて…

 

 

※本文中の内容は、

  事実に基づくフィクションです。