月別アーカイブ: 2017年5月

新郎新婦は、どこから入場?

ハプニング

結婚式・披露宴に携わる人も、人間です。 ミスをすることだってあります。 たとえベテランスタッフであっても、いつも完璧とは限りません。 些細なミスはお客様にも気付かれず、大きな問題にもならないでしょう。 でも、ちょっとしたスタッフのミスが、ちょっとしたでは済まされない、こんなことも起こってしまいました。  【ケース1】 ある結婚式場で行われた披露宴。 新郎新婦のお色直し入場シーンで、それは起こりました。    ♡ 「新郎新婦のご入場です!」 音楽がかかり、会場が徐々に暗くなっていきます。 そして、前奏のあと、歌が始まるその瞬間、扉が開いて新郎新婦が登場… という手はずでした。 しかし、扉を開けるタイミングの5秒ほど前に、扉は開いてしまったのです。 5秒なんてどうってことない… そう思うかもしれません。 しかし開いた扉は、新郎新婦が入場する予定の扉ではなく、すぐ隣の扉でした。 会場には、ロビーに通じる扉が、隣り合わせで2箇所あったのです。 驚いたのは照明スタッフ。 新郎新婦入場とともに、お二人にスポットライト当てるため、照明機材を入場予定の扉に向け、スタンバイをしていました。 それなのに、開き始めたのは隣の扉。 タイミングがわずかに早かったものの、入場する扉が変更になったのかと焦り、開きかけた扉に向けてライトを当てました。 スポットライト、なんとか間に合いました。 会場のお客様からは盛大な拍手が、湧き起こりました。 ところが… 観音開きの扉、(2枚の扉が中央から両側へ開くもの)は、片側(1枚)しか開かなかったのです。 そして、盛大な拍手の中登場したのは、新郎新婦ではなく、何と会場の女性スタッフでした。 「えっ?」「なになに?」 そんな言葉や笑い声が湧いたところで、予定通りの扉から、予定通りのタイミングで、新郎新婦がご入場されました。    ♡ サプライズ演出ではありません。 完全に女性スタッフのミスでした。 会場内は真っ暗だし、どうせ見えないだろうとでも、思ったのでしょうか。 しかし、会場は真っ暗でもロビーは明るいのです。 ライトが当たらなかったとしても、扉から外の明かりは漏れ、シルエットは、はっきりと見えます。 そのタイミングで、スタッフが会場に入ってくる理由は、一つもありませんでした。 結果、新郎新婦の入場の方が、悪いタイミングだったという印象に、なってしまいました。    ♡ お色直し入場シーンは、お二人が新たなお衣装で、お客様の前に初めて立つ瞬間。 新郎新婦への注目度も高いシーンです。 それなのに、一番注目されたのは女性スタッフ。 新郎新婦のお気持ちは、言うまでもないでしょう。    ♡ ケース2は、明日に続きます。  ※本文中の内容は、   事実に基づくフィクションです。続きを読む

結婚披露宴はドイツ風に?

演出

日本にもたくさんの外国人がいて、ただ街を歩いていても、日本語以外の言葉が、たくさん耳に飛び込んできます。 ですから当然のことながら、外国の方と結婚する人も、決して少なくありません。 ある花嫁のお父様は、外国人と結婚する娘の披露宴に、こんな企画を思いつきました。  新郎はドイツ人、新婦は日本人。 お二人はドイツにて、結婚式・披露宴をおこないました。 ドイツの披露宴は、日本とはあまりに違うものでした。 ドイツでの披露宴から、もう数ヶ月経つというのに、お父様はその様子について、興奮気味に話してくださいました。 ごく簡単に言うと、「披露宴」というより、「ダンスパーティー」 踊ったり喋ったり食事をしたりと、カジュアルな雰囲気で、それが何時間も続くとのことでした。 で? それを日本でやりたい!と。    ♡ 出席者のリストを拝見すると、新婦の親族22名新婦の友人 3名新婦の両親 2名新郎の母  1名新郎・新婦 2名合計30名でした。 30名でドイツの雰囲気? 無理… そう思いました。 ほとんどがご親族で、ご高齢の方もいらっしゃいます。 そもそも日本人は、そのような場に慣れていません。 ご友人も女性3名しかいないため、率先して踊ってくれるとは思えません。 そう申し上げましたが、「それでもやりたい!!!」と。    ♡ 当日会場には、ダンス用の板が設置されました。 ちょうど入場口から高砂に向かい、一直線になるように配置し、ダンススペースの左右に、テーブルが置かれています。 そのダンススペースを、バージンロードに見立て、新婦はお父様とご入場なさいました。 ご披露宴の始まりです。    ♡ ご親族の発声で乾杯がおこなわれ、祝宴が始まりました。 皆様に本日の趣旨をお話しし、ダンス音楽を通常のBGMより、少し大きめにかけ始めました。 早速踊り始める人が… いらっしゃるわけありません。 いくら働きかけてもダメです。 ごく普通のお食事会になっています。 さあどうしたものか…。    ♡ お食事がある程度進んだ頃、ふと閃いたのです。 そうだ!ワルツにしよう!!と。 音響さんに無理を言って、急遽ワルツの曲を用意して貰いました。 そうしたら… 1組のご夫婦が、踊り始めたではありませんか。 そしてそれにつられ、2組、3組と…。 それをきっかけに、やがてディスコ音楽がかかっても、みんな立ち上がって、新婦の友人たちの動きを真似て、ノリノリで踊ってくださいました。 最初にワルツを思いついたのは、私の両親のことを思い出したからです。 高齢の方は意外と若かりし頃に、社交ダンスを楽しんだ経験があるものです。 私の両親がそうでした。 若い時に習得したものって、自然と身体が覚えているものです。 ラジオ体操と一緒です。 最初に踊ってくださった方は、偶然にも社交ダンス教室に、ご夫妻一緒に通っていらっしゃるそうで、それも幸いしました。 お父様も大満足の、「ドイツ風」披露宴となり、ご出席の皆様にも、楽しんでいただけたようでした。    ♡ この時はたまたま上手くいきましたが、成功する確率は、極めて低いものだったと思います。 国際結婚かどうかに関わらず、何か特別な演出をおこなう際には、ご出席者の年齢・お人柄・地域性を、十分考慮なさった上でお決めになることを、オススメ致したいと思います。  ※本文中の内容は、  事実に基づくフィクションです。 続きを読む

一目惚れ、その恋は叶うのか?

出逢い

好きな人ができると、何だか俄然やる気が出る人って、世の中にはたくさんいるものです。 「火事場の馬鹿力」的なパワーには、圧倒されるものがあります。 そしてその結果、仕事も結婚も手に入れてしてしまった、とてもラッキーな人もいるのです。  実さん(仮名)は、ある一流大学に進学しました。 しかし、せっかく第一志望の大学に入れたものの、将来やりたいことも見つからず、それゆえ勉強にも力が入らない。 合コンに誘われるもあまり気乗りせず、口実を作っては断っていました。 つまり、何に対してもやる気が起こらない、そんな学生生活を送っていたのです。 ただそんな彼にも、夢中になれる唯一の趣味がありました。 それは「車」 とは言っても、まだ自分の車を持つには至らず、もっぱら雑誌を読みふけったり、たまにレースを見にいくことで、その欲求を満たしている状態でした。    ♡ そんなある日のこと、車のショールームを訪れました。 以前からそのメーカーの車には、強い憧れを持っていましたが、ショールームに行くのは初めて。 その日も、たまたま通りかかったので、ふらっと入ってみただけでした。 そこで目に飛び込んできたのは、キラキラと眩いほどの輝きを放っている、憧れのカッコイイ高級車! ではなく… ものすごく綺麗な「女性」でした。 そして彼は思いました。「この女性を自分の彼女にしたい!」と。    ♡ 彼のおこなったその後の行動は… 彼女に声をかけることでも、ショールーム足繁く通うことでも、ありませんでした。 では何を…? 一生懸命勉強することと、その会社について深い知識を得ること、この二つだけでした。 その結果…    ♡ 彼は入社試験を見事クリアして、その会社の社員となったのです。 それも、本社に勤務できることとなりました。 そして、あの憧れの女性と、ついに再会することができたのです。 彼女は何と社長秘書でした。 新入社員の立場から見たら、高嶺の花です。 実さんは、彼女にアタックすることも、これまでの想いを伝えることも、しませんでした。 その代わり、ただひたすらに仕事を頑張ったのです。 彼女に認められたいとか、カッコイイところを見せたいとか、そんな想いは一切ありませんでした。 今、自分がやるべきことは、一生懸命仕事を覚えることであると、そう思ったからでした。    ♡ 気がつけば入社から10年。 ひたすら頑張ってきた実さんは、支店長を任命される程になっていました。 本社から支店への異動。 彼女とは今後、仕事上の交流さえ、無くなってしまうかもしれません。 今しかない! そう思った実さんは、思いきって彼女をスキーに誘いました。    ♡ それから更に5年後、二人は本社近くのホテルにて、結婚式・披露宴をおこないました。 社長・副社長も、お祝いに駆けつけてくれました。 「彼女にしたい!」あのショールームでの想いが、就職先を決め、仕事上の出世も獲得し、その時の女性は妻となったのです。 「いつしか、 愛のシュプールを描いていました」 実さんはちょっぴり照れながら、そう語ってくれました。    ♡ 一目惚れした時、その次に起こす行動は実に様々です。 このご時世、良からぬ方向に突っ走ってしまう人も、残念ながら少なくないでしょう。 そんな中、このようなお話を実際に伺うと、恋愛って素敵だな、愛の力って凄いな、そう感じずにはいられません。 たくさんの人に、素敵な出逢いが訪れますように…♡  ※本文中の内容は、事実に基づくフィクションです。続きを読む

披露宴で新郎が泣いたら変?

サプライズ

結婚式・披露宴で涙するのは、花嫁とその両親だけではありません。 新郎や新郎の両親だって、同じように溢れる想いがあるのです。 新郎や新郎の両親が披露宴で泣くことを、あなたはどう思いますか?  結婚式の1週間ほど前、ある新郎のお母様のところに、新郎の友人から電話がありました。 「新郎についての思い出や、 今の気持ちなどを書いて欲しい」と。 余興で使うためという説明を受け、当日持ってくるようお願いされました。 とにかく書いてと言われ、お母様はどんな余興なのかもわからず、思いついたことを箇条書きにして、当日ご友人に渡しました。    ♡ ご披露宴の開宴少し前、そのご友人がお越しになり、披露宴の進行について尋ねられました。 ・ご両親への新婦の手紙があるかどうか?・お色直し退場はどうなっているか?この2点でした。 ・花嫁の手紙は有り・新婦はお父様とお色直し退場、 新郎は一人で退場そのようにお話ししました。 すると、「できれば新郎の退席は、 新郎のお母さんと一緒にして欲しい」そうおっしゃいました。 そして、「これ、お願いしたいのですが…」と、レポート用紙3枚に書かれたメモを、手渡したのです。 メモは新郎のお母様が書かれたもので、それを退席の時に話して欲しい、そういうことでした。 新郎にも新郎のお母様にも、絶対に言わないでください…とも。    ♡ 新郎のお召し替えの時間になりました。新郎が高砂を降りた時、新郎のお母様をお呼び出ししました。 新郎もお母様も、わけがわからないという表情で、高砂席前に並んでお立ちになりました。 そして…    ♡ 新郎が大きな産声をあげ、元気いっぱいで生まれてきた日のこと… 男ばかり4人の子を育てたご苦労… 子どもの頃の懐かしい思い出… 子どもたちのおかげで、母である自分自身も頑張れたこと… 上司や同僚、友人たちへの、感謝の気持ち… 新婦という素敵な娘ができて嬉しい、家族みんなで大切にしていきたいこと… 生まれてきてくれて、ありがとう…と。    ♡ メモをお手紙に変え、お母様の想いをお伝えしました。 お二人の目からは、涙が溢れて止まりませんでした。 そして、このサプライズは全て、ご友人が計画してくれたことを話すと、会場から聞こえていたすすり泣く声も、更に大きなものとなりました。    ♡ 新郎のお人柄からして、事前にお母様との退席を打診していたら、きっと断られたことと思います。 新郎のお母様も、メモだったから書いてくださったものの、お手紙としてお願いしていたら、ご遠慮なさったことでしょう。 ご両親やご兄弟のことをよく知っていて、特にお母様にはお世話になったことから、ご友人たちは、披露宴だからこそできることをしたい、披露宴でしかできないことをしてあげたいそう思ったそうです。 ご友人が、「花嫁の手紙」の有無を確認したのは、新婦に対する思いやりでした。 もし「花嫁の手紙」がなければ、余興で使うつもりだったようです。 また、花束贈呈時にしなかったのも、新婦の手紙と被らないための配慮でした。 そのあとお母様はご友人たちのお席を訪れ、「あんたたち何やってるのよ!」と言いながらも、ご友人たちの手をしっかりと握りしめ、また目を潤ませていらっしゃいました。    ♡ 「マザコンだと思われたらどうしよう」そう心配している新郎や、「子離れできていないみたいで恥ずかしい」そう思う新郎両親も多くいらっしゃいます。 「新郎が泣いたらおかしいですか?」「新郎の両親が泣いたら変ですか?」そういう質問も多く寄せられます。 考え方は人それぞれであり、そう感じる人もいないとは言いません。 でも実際の披露宴では、泣いている新郎や新郎のご両親、たくさんいらっしゃいます。 そしてそれを見た出席者も、その多くが共感し感動しているのです。 結婚とは、「嫁をもらうこと」ではなく、「親から独立し新しい家庭を築くこと」という感覚に変化しています。 ですからご両親へ抱く想いは、新婦だけのものではなく、新郎のものでもあるのです。 また、新郎の両親・新婦の両親、どちらの親にとっても、巣立つ子への様々な想いがあって、当然と言えるでしょう。 泣きたければ泣けばいい。 伝えたい想いがあるなら伝えればいい。 一生に一度の結婚式・披露宴を、悔いのないものにすることこそが、一番大切なのではないかと私は思います。  ※私個人の意見であり、  他の考え方を否定するものでも、  私の考えを押し付けるものでもないことを、  ご理解・ご了承ください。続きを読む

結婚式の引き出物は何?

引き出物

何かとお金がかかる結婚式。 少しでも節約しようというお気持ち、よくわかります。 しかし、何をどう節約するのかは、とても重要です。 もしあなたが出席者だったら、このような「節約」に、納得できるでしょうか?  新郎新婦は、お二人とも30代後半。 結婚式場(ホテル)の予約から、お二人の節約は始まっていました。 というのも、新郎新婦がウエディング業界の方で、内部事情にとても詳しかったのです。 ですから、(詳細はお話できませんが)予約も「邪道」とも言える、特別な方法でおこなわれました。 ホテル側も受けてしまった手前、お断りすることができず、結婚式・披露宴は、予約通りおこなわれることになりました。 とは言っても、新郎新婦は決して悪い方々ではなく、「節約」に関してだけ、ただならぬ想いがあったようでした。    ♡ 結婚式当日、待ち構えていたように、婚礼担当者がやってきました。 そして、バックヤードに連れて行かれ、「これ、見てくれる?」と言うのです。 引き出物の袋でした。 中を覗き込むと… えっ? ラッピングは、明らかに素人がおこなったとわかる、お世辞にも綺麗とは言えない物でした。 言い方を変えると、貰って嬉しいという感じの物とは、程遠かったのです。 「ちょっと酷いでしょ?」 担当者も困った様子。 打ち合わせの時点で、引き出物が持ち込みだということは、私も聞いていました。 このホテルは、引き出物のみならず、全てのものが持ち込み料0円なので、お持ち込みをされるお客様も、たくさんいらっしゃいます。 しかし、このような引き出物は、これまで見たことがありません。 さらに、「この引き出物って、 全部100均らしい…」と。 つまり、100円ショップで引き出物を選び、100円ショップのラッピング用品で、新郎新婦が包装したものだったようです。 だから、箱に入っていなかったり、形がいびつだったり…。 ただ、それらを入れる紙袋だけは、ホテルの物でした。 紙袋が一番高い…。 「引き出物は、 ホテルが用意したものじゃないって、 アナウンスしてね。 絶対に言ってね!」 そう念を押されました。 新郎新婦の職業柄、ブライダル業界のライバルが、上司や同僚として多数出席するため、ホテル側が敏感になるのも頷けます。    ♡ 出席者は200名ほど。 お料理のお値段は、婚礼料理の最低ランクを、さらに下回るものでしたが、全体の雰囲気はとても良く、素敵なご披露宴になったと思います。 ただ、ホテルでの結婚式・披露宴ですし、会費制ではなかったため、出席者もご祝儀は常識的な金額を、包まれたことでしょう。 ですから、お料理と引き出物に関して、お客様に満足していただけたかどうかは、疑問です。 特にブライダル業界の方は、一般の人に比べ、かなり見る目も厳しいでしょうから。    ♡ テーブル装花や演出、そして、新郎新婦のお衣装も、必要最小限の簡素なものでした。 つまり、自分たちばかりにお金をかけ…というものではありませんでした。 何か他にお金を集めたい理由が、あったのでしょうか? しかしながら、「節約」も行き過ぎると、「ケチった」と思われかねません。 そもそも、結婚式・披露宴は、結婚の報告だけでなく、ご出席の皆様に、感謝の気持ちを伝える場でもあります。 そして、今後もお世話になる方々です。 出席してくださるお客様の立場になって、おもてなしの方法を検討して欲しい…、そう私は思います。  ※本文中の内容は、  事実に基づくフィクションです。  また、  「節約」を否定するものでは、  決してありません。  誤解なきようお願いいたします。続きを読む

結婚相手は初恋の人

出逢い

「初恋」って、いくつの時でしたか? 幼稚園や保育園時代から、小学生時代という人が、多いのではないでしょうか。 「初恋は実らない」よくそう言われます。 しかし、初恋の人と結婚できた人もいるのです。 それも、長〜い年月を経て…  信子さん(仮名)の初恋は、幼馴染みの男の子でした。 彼とは家が近所で、同じ幼稚園に通っていました。 物心ついた時から、彼を含めた近所の子どもたちと、毎日のように遊んでいました。 そんな彼に恋心を抱いたのは、小学校に入学し、同じクラスになってからのこと。 勉強も運動も優秀な彼が、とても輝いて見えました。 しかし、まだ小学生。 自分の気持ちを打ち明けることもなく、その後も幼馴染みとして、普通に仲良く過ごしました。    ♡ 信子さんは大人になってからも、彼を想い続けていましたが、その想いを打ち明けることは、ありませんでした。 彼が自分に、特別な感情を抱いていないことが、わかっていたからです。 叶わぬ恋なら、友情を大切にしていきたい、そう思っていたのです。 そして彼は、25歳の時に、違う女性と結婚しました。 ショックではありましたが、いつかこういう日が来るだろうと、覚悟していました。 ですから、他の友人たちと一緒に、結婚式・披露宴にも出席し、友人として二人を祝福できたのです。    ♡ 信子さんもお年頃、恋のチャンスも巡ってきました。 お見合いをしたことも、お付き合いしてみたことも、幾度かありました。 しかし、いずれも結婚を決意するまでには、至りませんでした。 理由は自分でもわかりませんでした。 もしかしたら、心のどこかで、まだ初恋の彼を、忘れられなかったからかもしれません。    ♡ 時は過ぎ…信子さんはいつの間にか、58歳になっていました。 そして、58歳の信子さんは、純白のウエディングドレスを着て、バージンロードを歩いていたのです。 信子さんを迎えたのは、初恋の彼でした。 約50年という長い年月を経て、初恋が実った瞬間でした。    ♡ 実は… 彼の奥様は、病で他界されました。 そして前年、7回忌の法要を済ませたのち、信子さんに交際を申し込み、二人は結婚することとなったのです。    ♡ 結婚式には、地元の友人たちが大勢駆けつけ、まるで同窓会のような盛り上がりでした。 信子さんは彼に対する想いを、これまで誰にも告白したことは、ありませんでした。 でも、友人たちは皆わかっていました。 だからこそ、その純愛が実を結んだその日を、心から祝福してくれたのでしょう。 彼もそんな信子さんに、ウエディングドレスを着せてあげたいと、結婚式・披露宴を計画したのでした。    ♡ 信子さんのご両親は、ご健在でした。 ご両親へ、お手紙の朗読と花束贈呈が、おこなわれました。 「お父さん、お母さん、 長い間ありがとうございました」 本当に長い間でした。 笑い声と泣き声が、同時に押し寄せた、究極のクライマックスシーン。 ご両親の、涙と笑顔でくちゃくちゃになったお顔が、とても印象的でした。  ※本文中の内容は、  事実に基づくフィクションです。続きを読む

ウエディングケーキ美味しい?

ハプニング

披露宴をおこなったことがある人や、準備中の人にとっては、ごく当たり前のことであっても、未経験の人にとっては、知らないことも多いようです。 だからこんなことも、してみたくなっちゃうのでしょうか?  近年、ウエディングケーキに、生ケーキを選ばれるケースが、多くなっています。 「ファーストバイト」の普及も、影響しているのかもしれません。 (ちなみに、 ファーストバイトとは、 ウエディングケーキ入刀後、 新郎新婦がお互いに、 ケーキを一口ずつ食べさせ合うという、 演出のことです) また、お二人ならではの、オリジナルケーキを作って欲しい、そのようなご希望も多いようです。    ♡ あるご披露宴で用意されたのは、いちごがハート形に飾られた、可愛いウエディングケーキでした。 生ケーキです。 ファーストバイトもおこなわれました。 後程ゲストの皆様にも、ケーキをお配りする予定で、その旨のアナウンスも入れていました。 そして乾杯が済み、歓談のお時間になって間もない頃、一人の男性がケーキに近づいてきました。 20代後半と思われる、新郎の同僚でした。 ウエディングケーキの近くには、写真やビデオを撮っている方が、数名いらっしゃったので、その男性も写真撮影をなさるのだろうと、思っていました。 ところが… いきなり指をグサッとケーキに刺し、ケーキを大きくすくって、自分自身の口に運びました。 えーーーっ!? もしかして、食べちゃった? 次の瞬間、 「まずーーーーーーーーーーいっ!」 口にケーキがいっぱいに詰まった状態で、そう言い放ったのです。 それからしばらくの間、 「ウェーっ、マズイ!」 「マズイ!マズイ!!マズイ!!!」 「なんだこのホテルひでーなあ〜、 ケーキ超〜マズイ!」 のたうち回るようにしながら、大声で叫んでいました。    ♡ マズイのは当然です。 そのケーキ、生ケーキですが、フェイク(偽物)ですから。 ファーストバイトでは、食べることのできるケーキを、新郎新婦は召上がっています。 どこを食べてもいいってわけじゃあ、ないんです。 足が早い生クリームを、常温で長時間放置することは、食品衛生上、好ましくありません。 ですから、デザートとして振舞われる場合でも、入刀したものとは別のケーキが、用意されることが多いのです。 入刀したケーキと、同じものが振舞われる場合には、入刀直前にケーキが登場するなど、何かしら工夫がされているはずです。 入場前から会場に飾られているケーキは、全部ではありませんが、ほとんどがフェイクだと言えるでしょう。 子どもたちがケーキに近づいた際には、食べてしまわないように気を配りますが、まさか大人がそんなことをするとは、想像すらしていませんでした。 ですからマイクを通して、「このケーキは偽物なので、 食べないでください」というような、説明などもおこなっていませんでした。 大声で叫ぶ男性には、会場スタッフが、丁寧に説明とお詫びをしてくれました。 しかし… ゲストに生ケーキが振舞われた際には、また大きな声を張り上げていました。 「ここのケーキ、マズイぞ!」 「食わない方がイイぞ!」と。 ケーキを楽しみにしていたゲストには、不快感を与えてしまったようです。    ♡ このウエディングケーキが、たとえ本物だったとしても、この男性がした行為は、決して許せるものではありません。 いえ本物だったら余計に、誰かの指が入ってしまったケーキを、振舞って貰っても嬉しくありません。    ♡ この日、2つのことを学び反省しました。 「自分が知っていても、 他の人が知っているとは限らない」 「自分で思っている常識と、 他の人が思っている常識は、 必ずしも一致するとは限らない」 以降、ウエディングケーキが、生ケーキの場合には、必ず付け加えることにしました。 「後程このケーキを、 皆様にお召上がりいただきますので、 お手を触れないよう、 ご理解・ご協力をお願いいたします」と。    ♡ 本物であれ偽物であれ、飾られているウエディングケーキは、お召し上がりになりませぬように。 フェイクの場合には、お身体への影響も懸念されますので…。  ※本文中にも記載した通り、  入刀用の生ケーキは、  全てフェイク(偽物)という訳では、  ありません。  本物の生ケーキを使用する場合もあります。  誤解なきよう、宜しくお願いいたします。続きを読む

感動スピーチが招いた疑惑?

スピーチ

結婚式・披露宴に、感動はつきもの。 まだ式が始まる前、新郎新婦を見た瞬間から、泣き始める人も多く見かけます。 親しい人が幸せな日を迎えるのは、それほど嬉しいものです。 しかし、こんな風になってしまうと、色々大変かもしれません。  小百合さん(仮名)は、28歳OL。 高卒なので、入社からおよそ10年。 上司からも期待され、同僚からも頼りにされ、後輩からも慕われて… 気がつけば、会社になくてはならない存在に、なっていました。 仕事も会社も大好きで、結婚をしてからも、勤務は続けていく予定でした。 しかし、急に新郎の転勤が決まったのです。 悩んだ末、小百合さんは会社を辞め、新郎についていくことを決意しました。    ♡ 退社から1ヶ月後、結婚式・披露宴がおこなわれました。 小百合さんの上司も同僚も、大勢出席してくれました。 新婦側の主賓は、直属の上司である部長でした。 そして、主賓の祝辞が始まったのです。    ♡ お祝いの言葉を述べたあと、思い出を振り返るように、語り始めました。 入社時の面接官として、初めて小百合さんに会った時のこと… 当時高校生だった小百合さんは、可愛いながらも、芯のしっかりとした女の子だったこと… 小百合さんの採用を決めたのは、自分だったこと… 入社してからも、ずっと見守っていたこと… 仕事に対して一生懸命頑張っている、小百合さんの姿… 愛情あふれる言葉に、新婦や会社の同僚のみならず、新郎側のお客様も感動し、目頭を押さえている人もいました。 5分が過ぎ、読んでいた原稿を閉じ、そろそろ祝辞も結びに… 誰もがそう思い、部長ご本人も、そういう予定だったと思います。 しかし… ご自身の話しに、感情が高ぶってしまったのか、祝辞は締めに入るどころか、逆にヒートアップしてしまったのです。 つまり、原稿にはなかったことを、話し始めたようでした。 いかに小百合さんが素晴らしいか、詳細に語り出したのです。 涙声でした。 そして…これからも、ずっとそばで働いてくれると思った… おめでたいことだから、喜んであげなきゃいけないけど、会社を辞めてしまったのは悔しい… 新郎に小百合さんを、奪われたような気持ちでいる… その時にはもう、涙声をはるかに超え、嗚咽になっていました。 感動に包まれていた会場も、次第にスーっと温度が下がるような、そんな雰囲気になりました。 「なんかやばくない?」 「何かあったのか?」 「普通じゃないよね?」 そんな囁き声も聞こえてきます。 泣きながら聞いていた、小百合さんの同僚や後輩も、なんだか冷めたような表情に、なってしまいました。    ♡ きっと部長は小百合さんを、「部下として」可愛がっていただけ、だと思います。 小百合さんは、本当に優秀な社員であり、良き部下だったのでしょう。 だからこそ、結婚は喜ばしいことだけど、会社は辞めて欲しくなかった。 その結果、まるで恋人を取られたかのような、恨み節になってしまったのでしょう。 娘を嫁に出す父親の気持ちと、同じような想いだったのかも、しれません。 初めの5分間だけで話を結んでいたら、とても素晴らしい祝辞、部下思いの良き上司…と、高評価だったことでしょう。 残念ですし、気の毒でなりません。    ♡ 感情をコントロールするのは、とても難しいものです。 でも、結婚式・披露宴の席で、特に男性があまり泣き過ぎると、良からぬ想像をされかねません。 本人のみならず、新婦にも、疑いをかけられるなど、迷惑をかけてしまう可能性もあります。 感激屋の人、すぐ大泣きしてしまう人、感受性が豊か過ぎる人は、くれぐれもお気をつけください。 自分への戒めも込めて…  ※本文中の内容は、  事実に基づくフィクションです。続きを読む

救われた花嫁のブーケ

ハプニング

結婚式に贈られる、手作りのプレゼント。 手間とお金をかけ、心を込めて作成してくれる、それはとてもありがたいもの。 しかしその裏で、会場スタッフが苦労していることも、あったりするのです。 例えばこんなことが…  ある新婦は、高校時代のご友人から、「ブーケを作ってあげたい」そう申し出があったそうです。 そんな特技があるとは、知りませんでしたが、せっかくのお気持ちなので、作って貰うことにしました。 新婦と友人宅の距離は1時間ほど。 「受け取りに行くので、 できたら連絡してね」 そう言うと、 「生花だから、 作るの結婚式前日だよ。  前日の夜取りに来るのって、 大変でしょ?  当日、必ず持っていくから、 心配しないでね」と。 事前にその作品を、見ることができないのは、ちょっぴり心配だけど、信じてお任せすることにしました。    ♡ 当日、挙式前の早い時間に、友人はブーケを持ってきてくれました。 真っ白な花とグリーンで作られた、とても素敵なキャスケードブーケでした。 想像以上の出来栄えに、お願いして良かったと、新婦は心から嬉しく思いました。    ♡ 挙式が済み、披露宴の開始時刻が過ぎました。 まだ、新郎新婦のお支度が、整っていないようです。 一応状況を確認するため、様子を見に行きました。 すると… ご入場口から少し離れたところに、新郎新婦の姿を確認できました。 ではもう間もなくだろう…と、会場に戻ろうとしましたが、ブーケを持つ新婦の手元で、介添えさんが何やらごそごそしています。 近くまで行き、どうしたのかと尋ねると… ブーケのお花が、ポロポロと、取れているではありませんか。 もう開宴時刻は過ぎています。 作り直す時間など、もちろんありません。 しかしまさか、花をポロポロ落としながら歩くわけにも、ブーケなしというわけにもいきません。 テープやワイヤーの予備はないため、可能なところは、テープを剥がして巻き直し、針と糸を使って固定していきます。 新婦はその作業の様子を、心配そうにじっと見つめています。 「ごめんなさい。 もう、これ以上は無理です」 介添えさんの言葉を合図に、新郎新婦、ご入場となりました。    ♡ 幸運にも、この時の介添えさんは、フラワーアレンジメントの、資格をお持ちでした。 だからこそできた、素晴らしい応急処置でした。 もし、何の知識も技術もない、介添えさんだったとしたら、どうなっていたことでしょう。 せっかくご友人が贈ってくれた、心のこもった手作りブーケを、お色直しの瞬間まで、ちゃんと使うことができたのも、この介添えさんのお陰でした。    ♡ フラワーアレンジメント、着付け、お裁縫など、自主的に学ばれている介添えさんも、多くいらっしゃいます。 結婚式に携わるからには…と、万が一に備えているのです。 そのような心構えが、万が一の場合のみならず、普段のきめ細やかな心配りにも、繋がっていると言えるでしょう。 そしてプロフェッショナルに、支えられているからこそ、新郎新婦も、一生に一度の大切な日を、安心して過ごすことができるのだと、改めて感じさせられました。    ♡ 蛇足にはなりますが… 生花のブーケは、重さに耐えきれなくなってしまう、可能性があるそうです。 キャスケードブーケのように、高度な技術が必要なブーケは、特に注意が必要とのこと。 プロでない方が手作りされる際には、くれぐれもお気を付けくださいませ。続きを読む