結婚式・披露宴で涙するのは、
花嫁とその両親だけではありません。
新郎や新郎の両親だって、
同じように溢れる想いがあるのです。
新郎や新郎の両親が披露宴で泣くことを、
あなたはどう思いますか?
結婚式の1週間ほど前、
ある新郎のお母様のところに、
新郎の友人から電話がありました。
「新郎についての思い出や、
今の気持ちなどを書いて欲しい」と。
余興で使うためという説明を受け、
当日持ってくるようお願いされました。
とにかく書いてと言われ、
お母様はどんな余興なのかもわからず、
思いついたことを箇条書きにして、
当日ご友人に渡しました。
♡
ご披露宴の開宴少し前、
そのご友人がお越しになり、
披露宴の進行について尋ねられました。
・ご両親への新婦の手紙があるかどうか?
・お色直し退場はどうなっているか?
この2点でした。
・花嫁の手紙は有り
・新婦はお父様とお色直し退場、
新郎は一人で退場
そのようにお話ししました。
すると、
「できれば新郎の退席は、
新郎のお母さんと一緒にして欲しい」
そうおっしゃいました。
そして、
「これ、お願いしたいのですが…」と、
レポート用紙3枚に書かれたメモを、
手渡したのです。
メモは新郎のお母様が書かれたもので、
それを退席の時に話して欲しい、
そういうことでした。
新郎にも新郎のお母様にも、
絶対に言わないでください…とも。
♡
新郎のお召し替えの時間になりました。
新郎が高砂を降りた時、
新郎のお母様をお呼び出ししました。
新郎もお母様も、
わけがわからないという表情で、
高砂席前に並んでお立ちになりました。
そして…
♡
新郎が大きな産声をあげ、
元気いっぱいで生まれてきた日のこと…
男ばかり4人の子を育てたご苦労…
子どもの頃の懐かしい思い出…
子どもたちのおかげで、
母である自分自身も頑張れたこと…
上司や同僚、友人たちへの、
感謝の気持ち…
新婦という素敵な娘ができて嬉しい、
家族みんなで大切にしていきたいこと…
生まれてきてくれて、ありがとう…と。
♡
メモをお手紙に変え、
お母様の想いをお伝えしました。
お二人の目からは、
涙が溢れて止まりませんでした。
そして、
このサプライズは全て、
ご友人が計画してくれたことを話すと、
会場から聞こえていたすすり泣く声も、
更に大きなものとなりました。
♡
新郎のお人柄からして、
事前にお母様との退席を打診していたら、
きっと断られたことと思います。
新郎のお母様も、
メモだったから書いてくださったものの、
お手紙としてお願いしていたら、
ご遠慮なさったことでしょう。
ご両親やご兄弟のことをよく知っていて、
特にお母様にはお世話になったことから、
ご友人たちは、
披露宴だからこそできることをしたい、
披露宴でしかできないことをしてあげたい
そう思ったそうです。
ご友人が、
「花嫁の手紙」の有無を確認したのは、
新婦に対する思いやりでした。
もし「花嫁の手紙」がなければ、
余興で使うつもりだったようです。
また、
花束贈呈時にしなかったのも、
新婦の手紙と被らないための配慮でした。
そのあとお母様はご友人たちのお席を訪れ、
「あんたたち何やってるのよ!」
と言いながらも、
ご友人たちの手をしっかりと握りしめ、
また目を潤ませていらっしゃいました。
♡
「マザコンだと思われたらどうしよう」
そう心配している新郎や、
「子離れできていないみたいで恥ずかしい」
そう思う新郎両親も多くいらっしゃいます。
「新郎が泣いたらおかしいですか?」
「新郎の両親が泣いたら変ですか?」
そういう質問も多く寄せられます。
考え方は人それぞれであり、
そう感じる人もいないとは言いません。
でも実際の披露宴では、
泣いている新郎や新郎のご両親、
たくさんいらっしゃいます。
そしてそれを見た出席者も、
その多くが共感し感動しているのです。
結婚とは、
「嫁をもらうこと」ではなく、
「親から独立し新しい家庭を築くこと」
という感覚に変化しています。
ですからご両親へ抱く想いは、
新婦だけのものではなく、
新郎のものでもあるのです。
また、
新郎の両親・新婦の両親、
どちらの親にとっても、
巣立つ子への様々な想いがあって、
当然と言えるでしょう。
泣きたければ泣けばいい。
伝えたい想いがあるなら伝えればいい。
一生に一度の結婚式・披露宴を、
悔いのないものにすることこそが、
一番大切なのではないかと私は思います。
※私個人の意見であり、
他の考え方を否定するものでも、
私の考えを押し付けるものでもないことを、
ご理解・ご了承ください。