人生に無駄なものなど、
一つもない…そうです。
辛い、苦しい、寂しい、
そう思うこともあります。
でもそれは、
幸せの序章なのかもしれません。
イバラの道が、
こんなにも大きな幸せに、
繋がっていた人もいます。
祐樹さん(仮名)は大学を卒業後、
就職難の時代にもかかわらず、
第1希望の企業に見事合格しました。
いわゆる勝ち組です。
しかし、
履歴書の職歴欄には、
6社の名前が書かれていました。
8年間で5回もの転職を、
繰り返したそうです。
「骨を埋めるつもりで…」
という時代でないことは、
百も承知しておりますが、
いくらなんでも多過ぎる!
そう思うのは私だけではないはず。
これからも、
転職を繰り返すかもしれないのに、
このような人と結婚して、
大丈夫なのだろうか?
他人様のことながら、
心配になってしまいました。
転職の理由を尋ねると…
彼が話してくれたのは、
「5社中5社全てが、倒産しました」
という衝撃の事実でした。
続けて、
「俺って、
疫病神なのかと思いましたよ」と。
このご時世、
倒産する会社など山ほどあるし、
たまたま運が悪かったのでしょう。
しかし、話を先に進めると、
どうやらそうではなさそうです。
今の会社は、入社して3年。
これまでの会社に比べると、
とても長く続いています。
ここでふと気付きました。
会社名が、
新婦の苗字と同じでした。
「もしかしたら、この会社って?」
「そうです。
彼女の父親が社長なんです。」
祐樹さんはこの会社で彼女と出逢い、
職場結婚となりました。
新婦は一人っ子のため、
婿入り婚(養子縁組)でした。
ということは、
新郎は将来この会社を、
背負って立つことになるのでしょう。
それなら尚更、
後継となる彼の境遇に、
ご両親は、
不安を感じるのではないでしょうか?
実は祐樹さんも、
それをとても気にしていたそうです。
しかし、
立派な方というのは考え方も、
一般人とは違うものです。
お父様はこうおっしゃったそうです。
「一つの会社に長くいると、
井の中の蛙になってしまう。
君は、いろいろな会社で、
様々な職業を経験してきた。
つまり、
修行に出したのと同じことだ。
これからは我が社で、
これまでの経験をしっかりと生かして、
頑張って欲しい。
困難を幾度も乗り越えてきた、
祐樹君だったら大丈夫。
娘のことも、
きっと幸せにしてくれると、
信じているよ」と。
♡
幾度も転職を繰り返したのちに、
新婦のお父様が経営するこの会社に、
たどり着いた祐樹さん。
まさに、
新婦と出逢うため、
新婦と結婚するために、
転職を繰り返す運命だったのだと、
思わざるを得ません。
自分の人生は、
何で上手くいかないのだろう、
そう思いつつも、
前を向いて一生懸命歩いてきた理由が、
やっとわかった瞬間でした。
♡
一見、無駄に思えるような道も、
必ずその先に何かがあるはず。
たとえ今はままならぬ想いでも、
一歩一歩大切に歩んでいけば、
いつかその理由に気付く日が、
訪れるのかもしれません。
あなたが歩いているその道の先にも、
たくさんの幸せが、
待ち受けていますように…。
※本文中の内容は、
事実に基づくフィクションです。