親が薦める結婚相手。
「親が…」というただそこだけに、
強い抵抗感を持っている人も、
多いのではないでしょうか?
しかしながら、
「親の目」というのは、
結構、的確なものかもしれません。
まどかさん(仮名)は、
ある企業の総務課で、
事務の仕事に携わっていました。
よく気が利き、物腰も柔らかで、
社内だけでなく取引先からも人気があり、
いわゆる「お嫁さんにしたい…」
という言葉がぴったりの女性でした。
ある日、
直属の上司である部長のところへ、
来客がありました。
応接室への案内やお茶出しは、
まどかさんの大切な仕事の一つです。
その日お越しになったお客様は女性の方で、
まどかさんは初対面でした。
会社名を告げて面会を求められたため、
個人のお名前はわかりませんが、
会社名からすると取引先ではないようです。
部長からは、
「5分ほど繋いでおいてくれる?」
そのように言われました。
このようなことも、珍しくありません。
まどかさんは5分ほどの間を、
その女性客との雑談でつなぎました。
特にいつもと何ら変わりのない、
職場での一コマでした。
♡
それから半年ほどが経ったある日、
部長から声がかかりました。
「来週の金曜日、
会食に同席してもらえるかな?」と。
特に別の予定もなかったため、
同行することにしました。
♡
そして迎えた当日。
部長とともに食事会場に到着すると、
そこには半年ほど前に来社された女性と、
自分と同年代の男性が待っていました。
部長の奥様と息子さんだと紹介されました。
「実は妻の会社で、
当社の商品を扱ってもらうことが決まって…。
契約のことなど君にお願いした方が良いと思って、
同席してもらったんだけど…。
段取りとか説明とか、よろしく頼むよ」と。
ちなみに息子さんは、
奥様の会社には全く関係ないとのこと。
「まあ何となく、
ついでに来てもらったというか…」
何とも歯切れの悪い言い方でしたが、
特に気にすることもなく、
仕事のことも含め話は盛り上がり、
楽しい時間を過ごすことができました。
その後、契約手続きも順調に進み、
今度はお礼にと、
部長の自宅に招かれました。
このようにして、
まどかさんは部長のご家族と、
すっかり仲良しになりました。
そのうち息子さんと二人だけで、
食事やドライブなどにも出かけるように、
なっていきました。
そう、ごく自然に、
まどかさんと彼は恋人同士になりました。
そして…
初めての出逢いからおよそ1年後に、
二人は結婚式を挙げました。
♡
職場で毎日まどかさんを見ていたお父様は、
このような女性がお嫁に来てくれたら、
どんなに良いかと思ったそうです。
しかし、
パワハラだのセクハラだの、
色々と問題になっているこのご時世。
話の持って行きようによっては、
大問題に発展しかねません。
また双方が気に入るとも限らず、
どちらにも嫌な思いだけはさせたくない、
そんな気持ちもありました。
そこでまず、
奥様にまどかさんを会わせたのだそうです。
奥様も一目でまどかさんを気に入り、
協力してくれることとなりました。
息子さんにもまどかさんにも、
その意図は隠したまま、
なるべく自然な形で事を進めていったのです。
♡
まどかさんは…
「うちの息子と会ってみないか?と
もしも最初に言われたとしたら、
お断りしていたかもしれません。
だって上司ですから…
色々と考えてしまいます」
「食事会の時、彼が同席していたことに、
ちょっと違和感というか、
何か裏があるのでは?と感じましたが、
後から全てを知った時、
それも部長の思いやりや優しさだったのだと、
とてもありがたく思いました」
♡
自分が気に入った部下(特に男性)を、
家に連れてくるお父様は結構多いようです。
上司という厳しい目で見て、
「この人なら大丈夫!」と思った人なら、
信じてみても良いかもしれません。
また息子や娘に合う人は、
親の勘でわかるのかもしれません。
それでも、
最終的に決めるのは、親ではなく本人です。
ですから、
「親の世話にはならない!」と、
片意地を張るのではなく、
時には自然な流れに身を任せてみるのも、
良いのではないでしょうか。
もしかしたらそれが、
素敵な出逢いや、
幸せな結婚に、
繋がるかもしれませんから…。
♡
部下と娘の出逢いを、
新婦のお母様が計画したケースは、
こちらの記事をお読みください。
※本文中の内容は、
事実に基づくフィクションです。
尚、親が薦める結婚について、
賛成や否定をするものではないことを、
ご理解ください。念のため…。