花嫁の手紙で、両親が見たもの

結婚披露宴で、

特に大切にしたいシーンの一つ、

新婦の手紙朗読〜ご両親への花束贈呈。

 

一番の感動シーンでもあります。

 

もしそんな時、

会場のスタッフによって、

こんなことがおこなわれたら、

あなたはどう感じるでしょうか?

 

 

 

【スタッフのミス・ケース1】

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【スタッフのミス・ケース2】

 

そのご披露宴は、
とても和やかに進行し、
いよいよクライマックスシーンである、
ご両親への花束贈呈となりました。

 

ご両家ご両親はお開き口付近に、

新郎新婦は高砂席の前に、
それぞれ並んでお立ちになりました。

 

つまり、
ご両親は会場の一番後ろ、
新郎新婦は会場の一番前。

 

ご両親と新郎新婦の間にテーブルがあり、
お客様が座っている状態です。

 

その位置で、
新婦は感謝のお手紙を読み始めました。

 

程なくご新婦のご両親は泣き始め、
新郎のご両親も目頭を押さえています。

 

会場のあちらこちらで、
すすり泣く声が聞こえていました。

 

その時です。

 

会場スタッフが、
ご両親のすぐ前を横切りました。

 

息子・娘の姿を、
泣きながら見つめている、
ご両親の視界を遮ったのです。

 

このシーン、
配膳係は邪魔にならぬよう、
全員会場から外に出ていました。

 

会場内にいるスタッフは、
ビデオさん・カメラさん・照明さん、
介添えさん・司会者だけです。

 

みんな持ち場を離れるわけには、
いきません。

 

つまり、
誰もご両親の前を歩いているスタッフを、
止めに行くことができないのです。

 

ご両親を撮影していたビデオさんは、
手で追い払うような仕草をしましたが、
本人は全く気付きません。

 

結果、会場スタッフは、
ご両親の目の前を、
4往復もしてしまいました。

 

それも、
実に堂々と椅子を持って…。

 

   ♡

 

理由がありました。

 

お手紙→花束贈呈→謝辞に続き、
エンドロールの上映があります。

 

新郎新婦のご両親にも、
エンドロールをご覧いただく予定でした。

 

立ったままではなく、
座ってご覧いただくために、
その時の椅子を準備していたのです。

 

ご両家ご両親がこれまで座っていた、
テーブル席に置かれた椅子を、
お開き口近くに移動させていたのです。

 

4脚ですから4往復。

 

それって、
お手紙の朗読中にやる必要が、
あるのでしょうか?

 

理屈はわかります。

 

あらかじめ椅子を移動していた方が、
謝辞の後、ご両親を、
スムーズに誘導できるからです。

 

お手紙の朗読中、
お客様の視線は会場前方にいる、
新郎新婦に向けられています。

 

ですからスタッフは、
お客様の後ろを通っていることになり、
何の抵抗も感じなかったのでしょう。

 

だからこそ、
実に堂々と椅子を運んでいたのです。

 

ご両親のすぐ目の前だということは、
全く気にせずに…。

 

   ♡

 

時おり涙を拭いながら、
朗読をじっと聞いていたご両親は、
途中からスタッフの動きに目を奪われ
感動も薄らいでしまったようでした。

 

さらにビデオカメラでも、
お嬢様のお手紙に涙するご両親の表情を、
納得できる形で撮影することは、

できなかったようでした。

 

   ♡

 

スタッフは日頃から、
厳しい教育を受けているはずです。

 

しかし現場はナマモノ。

 

全てのことを、
前もって予測し指導することは、
不可能とも言えるでしょう。

 

たった一人の、
たった一つの行動が、
大成功となるはずだった宴席を、
全て台無しにしてしまったとしたら、
それはとても悲しいことです。

 

現場に出たら神経を研ぎ澄まし、

現実をしっかりと見つめ、
細部にまで心を配ること。

 

それこそが、

どんな素晴らしいマニュアルにも、
勝るものなのではないでしょうか。

 

自戒の念を込めて…

 

 

※私個人の意見であり、
  人によって違いがありますことを、
  ご理解・ご了承ください。
  本文中の内容は、
  事実に基づくフィクションです。