日本にもたくさんの外国人がいて、
ただ街を歩いていても、
日本語以外の言葉が、
たくさん耳に飛び込んできます。
ですから当然のことながら、
外国の方と結婚する人も、
決して少なくありません。
ある花嫁のお父様は、
外国人と結婚する娘の披露宴に、
こんな企画を思いつきました。
新郎はドイツ人、新婦は日本人。
お二人はドイツにて、
結婚式・披露宴をおこないました。
ドイツの披露宴は、
日本とはあまりに違うものでした。
ドイツでの披露宴から、
もう数ヶ月経つというのに、
お父様はその様子について、
興奮気味に話してくださいました。
ごく簡単に言うと、
「披露宴」というより、
「ダンスパーティー」
踊ったり喋ったり食事をしたりと、
カジュアルな雰囲気で、
それが何時間も続くとのことでした。
で?
それを日本でやりたい!と。
♡
出席者のリストを拝見すると、
新婦の親族22名
新婦の友人 3名
新婦の両親 2名
新郎の母 1名
新郎・新婦 2名
合計30名でした。
30名でドイツの雰囲気?
無理…
そう思いました。
ほとんどがご親族で、
ご高齢の方もいらっしゃいます。
そもそも日本人は、
そのような場に慣れていません。
ご友人も女性3名しかいないため、
率先して踊ってくれるとは思えません。
そう申し上げましたが、
「それでもやりたい!!!」と。
♡
当日会場には、
ダンス用の板が設置されました。
ちょうど入場口から高砂に向かい、
一直線になるように配置し、
ダンススペースの左右に、
テーブルが置かれています。
そのダンススペースを、
バージンロードに見立て、
新婦はお父様とご入場なさいました。
ご披露宴の始まりです。
♡
ご親族の発声で乾杯がおこなわれ、
祝宴が始まりました。
皆様に本日の趣旨をお話しし、
ダンス音楽を通常のBGMより、
少し大きめにかけ始めました。
早速踊り始める人が…
いらっしゃるわけありません。
いくら働きかけてもダメです。
ごく普通のお食事会になっています。
さあどうしたものか…。
♡
お食事がある程度進んだ頃、
ふと閃いたのです。
そうだ!
ワルツにしよう!!と。
音響さんに無理を言って、
急遽ワルツの曲を用意して貰いました。
そうしたら…
1組のご夫婦が、
踊り始めたではありませんか。
そしてそれにつられ、
2組、3組と…。
それをきっかけに、
やがてディスコ音楽がかかっても、
みんな立ち上がって、
新婦の友人たちの動きを真似て、
ノリノリで踊ってくださいました。
最初にワルツを思いついたのは、
私の両親のことを思い出したからです。
高齢の方は意外と若かりし頃に、
社交ダンスを楽しんだ経験があるものです。
私の両親がそうでした。
若い時に習得したものって、
自然と身体が覚えているものです。
ラジオ体操と一緒です。
最初に踊ってくださった方は、
偶然にも社交ダンス教室に、
ご夫妻一緒に通っていらっしゃるそうで、
それも幸いしました。
お父様も大満足の、
「ドイツ風」披露宴となり、
ご出席の皆様にも、
楽しんでいただけたようでした。
♡
この時はたまたま上手くいきましたが、
成功する確率は、
極めて低いものだったと思います。
国際結婚かどうかに関わらず、
何か特別な演出をおこなう際には、
ご出席者の年齢・お人柄・地域性を、
十分考慮なさった上でお決めになることを、
オススメ致したいと思います。
※本文中の内容は、
事実に基づくフィクションです。