一目惚れ、その恋は叶うのか?

好きな人ができると、
何だか俄然やる気が出る人って、
世の中にはたくさんいるものです。

 

「火事場の馬鹿力」的なパワーには、
圧倒されるものがあります。

 

そしてその結果、
仕事も結婚も手に入れてしてしまった、
とてもラッキーな人もいるのです。

 

 

実さん(仮名)は、

ある一流大学に進学しました。

 

しかし、
せっかく第一志望の大学に入れたものの、
将来やりたいことも見つからず、
それゆえ勉強にも力が入らない。

 

合コンに誘われるもあまり気乗りせず、
口実を作っては断っていました。

 

つまり、
何に対してもやる気が起こらない、
そんな学生生活を送っていたのです。

 

ただそんな彼にも、
夢中になれる唯一の趣味がありました。

 

それは「車」

 

とは言っても、
まだ自分の車を持つには至らず、
もっぱら雑誌を読みふけったり、
たまにレースを見にいくことで、
その欲求を満たしている状態でした。

 

   ♡

 

そんなある日のこと、
車のショールームを訪れました。

 

以前からそのメーカーの車には、
強い憧れを持っていましたが、
ショールームに行くのは初めて。

 

その日も、
たまたま通りかかったので、
ふらっと入ってみただけでした。

 

そこで目に飛び込んできたのは、
キラキラと眩いほどの輝きを放っている、
憧れのカッコイイ高級車!

 

ではなく…

 

ものすごく綺麗な「女性」でした。

 

そして彼は思いました。

「この女性を自分の彼女にしたい!」と。

 

   ♡

 

彼のおこなったその後の行動は…

 

彼女に声をかけることでも、
ショールーム足繁く通うことでも、
ありませんでした。

 

では何を…?

 

一生懸命勉強することと、
その会社について深い知識を得ること、
この二つだけでした。

 

その結果…

 

   ♡

 

彼は入社試験を見事クリアして、
その会社の社員となったのです。

 

それも、
本社に勤務できることとなりました。

 

そして、
あの憧れの女性と、
ついに再会することができたのです。

 

彼女は何と社長秘書でした。

 

新入社員の立場から見たら、
高嶺の花です。

 

実さんは、
彼女にアタックすることも、
これまでの想いを伝えることも、
しませんでした。

 

その代わり、
ただひたすらに仕事を頑張ったのです。

 

彼女に認められたいとか、
カッコイイところを見せたいとか、
そんな想いは一切ありませんでした。

 

今、自分がやるべきことは、
一生懸命仕事を覚えることであると、
そう思ったからでした。

 

   ♡

 

気がつけば入社から10年。

 

ひたすら頑張ってきた実さんは、
支店長を任命される程になっていました。

 

本社から支店への異動。

 

彼女とは今後、仕事上の交流さえ、

無くなってしまうかもしれません。

 

今しかない!

 

そう思った実さんは、
思いきって彼女をスキーに誘いました。

 

   ♡

 

それから更に5年後、
二人は本社近くのホテルにて、
結婚式・披露宴をおこないました。

 

社長・副社長も、
お祝いに駆けつけてくれました。

 

「彼女にしたい!」
あのショールームでの想いが、
就職先を決め、
仕事上の出世も獲得し、
その時の女性は妻となったのです。

 

「いつしか、
 愛のシュプールを描いていました」

 

実さんはちょっぴり照れながら、
そう語ってくれました。

 

   ♡

 

一目惚れした時、
その次に起こす行動は実に様々です。

 

このご時世、
良からぬ方向に突っ走ってしまう人も、
残念ながら少なくないでしょう。

 

そんな中、

このようなお話を実際に伺うと、
恋愛って素敵だな、
愛の力って凄いな、
そう感じずにはいられません。

 

たくさんの人に、
素敵な出逢いが訪れますように…♡

 

 

※本文中の内容は、
事実に基づくフィクションです。