披露宴のスライド上映に秘密?

今は、いつでも簡単かつ大量に、
写真撮影ができる時代になりました。

 

しかしながら、
新郎新婦が子どもの頃といえば、
20年以上前?

 

となると、
まだスマホも無く、

カメラもフィルム時代。

 

今ほど頻繁に写真を撮る機会は、
なかったかもしれません。

 

そのためか、

プロフィールビデオなどの制作にあたり、
「写真がない!」
そう悩む方もいらっしゃいます。

 

そして、
こんな秘密の話を、
打ち明けてくれた人もいました。

 

 

ある披露宴で、
スライドの上映がありました。

 

新郎新婦の写真を一枚一枚映し出し、
それに合わせて、
ナレーションを入れるというものです。

 

プロフィール写真は、

ビデオでの上映が主流となっていますが、
ナレーションを入れるとなると、
録音よりもリアルの方が手軽です。

 

スライド上映であれば、

お客様の反応を見ながら、

タイミングの調整ができ、

アドリブを入れることも可能なため、

会場全体の一体感も期待できます。

 

その新郎新婦のケースでは、

お互いの成長過程を逐一比較できるよう、
同じ時代の写真を、
同じ枚数選び、
交互に披露することとなりました。

 

生まれたばかりの新郎

生まれたばかりの新婦

1歳の新郎

1歳の新婦

 

こんな具合です。

 

一人っ子の新郎は写真が多過ぎ、
二人姉妹の新婦は写真が少な過ぎ、
双方のバランスを取るのが、
とても大変だったそうです。

 

それでも打ち合わせの際には

なんとか同じ年代・同じ枚数の写真を、
用意してきてくれました。

 

ナレーション原稿を作るために、
写真を一枚一枚見ながら、

エピソードなどをお聞きしていきます。

 

新郎側のお話が済み、
次は新婦側です。

 

まず1枚目の写真を見ながら、

生まれた時のお話を伺いました。

 

そして、

2枚目に移ったその時でした。

 

新婦の口から、
びっくりするような話が、
飛び出したのです。

 

それは…

 

   ♡

 

「ここから数枚は、
 私の写真ではありません!

 

えっ?

 

「私、写真ないんです」

 

なぜ?

 

「実は私、
 姉とそっくりなんです。

 

 両親にとって姉は初めての子で、
 嬉しかったのと珍しかったのとで、
 写真は物凄くたくさん撮りました。

 

 そして、
 6歳違いで生まれたのが私です。

 

 1枚目、生まれた時の写真は、
 確かに私の写真です。

 

 でも、
 そこから先は、
 同じ顔だから…という理由で、
 私の写真は撮っていないんです」

 

そんなことが…。

 

「だから、
 姉の写真にしちゃいました。

 

 内緒にしてくださいね」

 

内緒は…もちろんです。

 

でも…

それならば、
その時代の写真は無しにして、
ご自身が写っているものを、
ご披露した方が良いのでは…?

 

「いいんです。

 

 姉の写真を使うことで、
 新郎とのバランスもとれるし…。

 

 ほんとソックリなので、
 両親と姉以外の人には、
 絶対にバレないはずです!」

 

   ♡

 

結局、
新郎側の枚数を調整し、
最小限度3枚だけ、
お姉様の写真を使うことになりました。

 

   ♡

 

ご披露宴当日、
新婦がおっしゃっていた通り、
どなたにも気付かれることは、
ありませんでした。

 

もちろん、
ご両親とお姉様はわかったようで、
微妙な表情をなさっていましたが…。

 

   ♡

 

当日の新婦とご家族の様子から見て、
お姉様だけが可愛がられていたとか、
そういう訳ではないようです。

 

むしろ、
愛情たっぷりに育てられたからこそ、
抵抗なくお姉様のお写真を、
使うことができたのでしょう。

 

そもそも、
問題があるご家庭なら、
スライド上映をなさろうとは、
思わないでしょうから…。

 

   ♡

 

お約束通り秘密は守りました。

 

新郎新婦にも喜んでいただき、
お客様にも楽しんでいただけました。

 

でも、
本当にあれで良かったのか?と、
何となくモヤモヤした気持ちになるのは、
はたして私だけでしょうか…。

 

 

※本文中の内容は、

  事実に基づくフィクションです。