ブーケトスは花嫁の憧れ、
そう思っている人も、
多いのではないでしょうか。
大切な人への幸せのバトンタッチ
とても素敵な演出ではありますが、
その一方で、
ハプニングもいっぱい。
楽しいハプニングなら、
それも良き思い出になるでしょう。
しかし、
こんな悲しいことが、
起こってしまいました。
優子さん(仮名)は、
絶対にブーケトスをしたい、
そう思っていました。
挙式は神前式だったため、
おこなうとすれば披露宴。
そのために、
会場選びの段階から、
ブーケトスのことを考慮していました。
天井が高く、
広さにもゆとりのある所…。
そして、
ブーケもトス用に、
軽めの可愛らしいものを、
用意しました。
準備は万全です。
♡
優子さんは21歳と若く、
ご友人はみんな独身でした。
職場の同僚にも、
独身者が大勢いました。
ですから、
ご友人・同僚たちもまた、
このブーケトスを、
楽しみにしてくれていたのです。
ブーケトスには、
たくさんの女性が参加してくれました。
そして、
出席者全員で、
カウントダウン。
「3・2・1」
ブーケが優子さんの手を離れ、
みんなの待つところへ、
綺麗な弧を描いて飛んで行きました。
さあ誰の手に、
キャッチされるのでしょうか?
あっ!
信じられないことが起こりました。
近くに座っていた男性が、
いきなり立ち上がり、
ブーケに向かって、
手を伸ばしたのです。
女性たちより、
かなり背の高い男性。
当然、
ブーケに一番早く手が到達します。
男性が受け取っちゃう。
もう一度やり直しか…?
そう思った瞬間、
男性の手は勢いよく、
ブーケを弾き飛ばしたのです。
♡
ブーケはそのまま、
床に落下しました。
強い力が加わったことで、
可愛らしかったブーケは、
見るも無残な姿となってしまったのです。
会場は、シーンとなりました。
♡
その時でした。
ブーケトスに参加してくれていた、
一人の女性が、
バラバラになったお花を、
さっと一つにまとめ握りしめました。
そして、
そのブーケを高々と掲げながら、
「わーい、ヤッター、
ありがとう!」と。
その行動と笑顔に、
新婦のみならず、
出席者全員がどれほど救われたことか。
会場からは、
盛大な拍手が沸き起こりました。
♡
その男性、
決して悪気があったわけでは、
ないと思います。
きっと、盛り上げようと、
いたずら心を起こしただけ。
自分の手にワンバンドさせて、
本来の軌道を、
ちょっとだけ変えてみようと、
思ったのかもしれません。
まさか、
勢いよく跳ね飛ばし、
ブーケが壊れてしまうなんて、
考えてもいなかったでしょう。
魔が差した…
そうとしか、
言いようがありません。
その男性は、
新婦の上司でした。
あの後、
会社でどうなっているのか、
ちょっぴり心配です。
♡
あの時、参加していた女性が、
機転をきかせてくれなかったら、
どうなっていたかと、
今でも冷や汗が出ます。
新郎新婦にとって、
一生に一度の大切な日。
その日にかける新郎新婦の想いは、
並大抵ではないでしょう。
大変な準備を重ねて、
ようやく迎えた結婚式・披露宴。
盛り上げようとしたことが、
逆の結果を招いてしまったとしたら、
たとえそれが純粋な想いでも、
ご愛嬌では済まない場合があります。
ご出席の場合には、
どうかくれぐれも、
このような行為はご遠慮いただきたい…
心からのお願いです。
※本文中の内容は、
事実に基づくフィクションです。