結婚式・披露宴の準備で、
頭を悩ませる人が多いものの一つ、
「花嫁の手紙」
アルバムを開いては思い出を振り返り、
泣いてしまって、全然書けない。
書かなきゃ、書かなきゃ、
そう思いながら、
気がついたらもう日にちがない。
中にはこんな人まで…
1週間前の司会打ち合わせで、
「両親への手紙、書きます。
自分で読みたいと思います。」
そうおっしゃっていた新婦。
ところが、
当日の挙式直前になって、
「実はまだ書いていないんです」と。
えっ?まだ?
もう、お式が始まってしまいます。
挙式の後は、
集合写真もありますし、
披露宴まで時間がありません。
「集合写真が終わったら書きます!」
状況を考えると、
無理なのではないかと思いましたが、
ご本人がそうおっしゃっている以上、
見守るしかありません。
♡
ご披露宴がスタートしました。
大丈夫かな?
書けたのかな?
気が気ではありませんでしたが、
キャプテンから、
朗読中止の連絡も来ていませんので、
きっと間に合ったのでしょう。
それでも、ちょっぴり心配で、
お色直しで退席された時、
新婦の元へ確認に伺いました。
「まだ書き終わっていません。
頑張ります!」
えっ?まだ?
頑張ります…って?
どうやら、
お色直しをしながら頑張るようです。
そして、お色直しが済んだ頃、
美容室に行ってみると、
「できました!」と、
明るい声を聞くことができました。
よかった、
間に合ったんだ。
「でも自分では読めそうもないので、
代読お願いします!」と。
そして受け取ったのは、
会場となっているホテルの封筒。
開けてみると…
小さな紙が何枚も入っています。
これって、
ホテルのメモ用紙!!!
便箋、忘れちゃったとしても、
ホテルの便箋もあるはず。
何で封筒と一緒に、
貰わなかったんだろう?
ヘアメイクさんによると、
最初は便箋に書いていたものの、
何度も直しているうちに、
ぐちゃぐちゃになってしまい、
それで結局、
メモ用紙に書くことになったのだとか。
嫌な予感。
恐る恐るメモを見ると、
ボールペンで書いた文字の半分以上が、
黒く塗りつぶしてありました。
つまり、
書いては直し、
また書いては直しと、
下書きの状態だったのです。
文字は小さく、殴り書き。
残っている文字を、
拾い集めるだけでも大変です。
このままでは、
とても読めるものではありません。
代読を頼んだ理由が、
その瞬間はっきりわかりました。
♡
司会席に戻り、
一通り目を通した時には、
新郎新婦お色直し入場に、
なってしまいました。
今度は私が焦る番です。
朗読まで、
時間がありません。
このメモを、
何とか読めるように、
しなくてはならないのです。
司会をしながら…
スピーチを聞きながら…
余興を横目で見ながら…
そして、
何とか書き上げた時には、
花束贈呈シーンのBGMが、
始まっていました。
♡
さすがにここまでの人は、
珍しいのですが、
式場に到着してから書いている人も、
結構いらっしゃるのです。
長年の感謝の気持ち、
これまでの思い出…
ご両親への深い想いは、
たとえどんなに文章力のある人でも、
お色直しをしながら、
ちょちょっと書けるものではないはず。
想いが溢れて書けない…
よくわかります。
他にやることがいっぱいあって…
確かにそうかも知れません。
それでも、
せめて前日までには、
きちんと完成しておきたいものです。
決してメモ書きなどではなく、
便箋に手書きをし、
あなたの想いとともに封筒に入れて、
ご両親にそのままお渡しできるように、
準備して欲しいと願っています。
ご両親にとって、
大切な我が娘からのお手紙は、
一生の宝物なのですから…。
※本文中の内容は、
事実に基づくフィクションです。