披露宴に一つくらいは、
サプライズ演出を取り入れたい、
そうお考えの新郎新婦も、
大勢いらっしゃることと思います。
昔、新婦のお色直しは、
ご媒酌人の奥様と共に、
お進みになるのが一般的でした。
ですから、
当時お母様とお進みになるのは珍しく、
それこそ、サプライズだったのです。
しかし、
今はご媒酌人無しの披露宴がほとんどで、
お母様とのお色直し退席も、
珍しくなくなってしまいました。
むしろ、
そういうものだと、
当たり前のように思っている人の方が、
多いかも知れません。
このように、
時代の移り変わりとともに、
サプライズ感が薄くなってしまったものも、
少なくありません。
ですから、
サプライズ演出を取り入れるといっても、
みんながアッ!と驚くようなことが、
なかなか見つけにくいことでしょう。
そんな中、
きっと誰も見たことがないような、
サプライズをおこなった人がいます。
一体、
どんな演出だったのでしょうか?
それは、
新婦のヘアチェンジでした。
それも、
披露宴会場の中でおこなわれました。
担当したのは…
新郎だったのです。
この新郎は、
有名なコンテストでも受賞経験のある、
素晴らしい実績をお持ちの方でした。
新婦は、
新郎が経営するヘアサロンの、
スタッフでした。
披露宴は出席者に楽しんでいただきたい、
それが、
新郎新婦、唯一の願いでした。
それを前提に、
新郎新婦から、
お客様へのサプライズを計画したのです。
最初は、
出席者の髪をカットしてあげることを、
検討していました。
しかし、
カットモデルに指名された方も、
喜ぶとは限らない。
また、
お食事をしている席でもあるし、
「切る」という行為も、
結婚式にはふさわしくないだろう。
そんな配慮から、
ボツになりました。
そして、
浮上したのが、
ヘアチェンジだったのです。
実は、
最初の髪をセットしたのも新郎でした。
最初の髪型と、
ヘアチェンジ後が、
なるべく大きく変化した方が、
より楽しんでいただけるのではと、
両方担当することに決めたのだそうです。
仕事の後、
新郎のヘアサロンで、
毎晩のように試行錯誤を重ねました。
飽きない程度の時間、
デザインのオリジナル性、
楽しさや華やかさ…
しっかりと準備をした上で、
当日を迎えました。
♡
高砂席の隣に、
ミニステージが設置されました。
出席者がお席でも楽しめるようにと、
ビデオでの同時上映もおこないました。
男性は、
女性の髪をセットしているところなど、
あまり目にする機会がありません。
女性も、
一流の美容師によるセットには、
興味があります。
全員が、
食事をするのも忘れ、
新郎新婦に注目していました。
小さい子どもたちは、
自然と舞台の前に集まってきて、
その一部始終を、
静かにじっと見つめていました。
清楚な雰囲気から、
華やかで奇抜なデザインに…
「美容師とモデル」が、
「新郎と新婦」という、
最高のペアでおこなわれたパフォーマンス。
しばらく拍手が鳴り止まなかったのは、
いうまでもありません。
♡
小さな子どもから、ご年配の方まで、
全員に楽しんでもらいたい、
そんな想いで企画したサプライズ。
ご出席の皆様にとっても、
新郎新婦にとっても、
いつまでも忘れられない、
素敵なワンシーンになったことでしょう。
ご両家のご両親ともに、
ハンカチで目頭を押さえていたのも、
とても印象的でした。
♡
新郎新婦の自己満足ではなく、
出席者のことを思ってのサプライズ、
とっても素敵だな…と、
心から感じることができました。
全員が楽しめるサプライズ、
あなたなら、
何を思いつくのでしょうか?
※本文中の内容は、
事実に基づくフィクションです。
なお、
この企画が実現できたのは、
披露宴会場となったホテルの、
温かなご理解とご尽力のお陰であることを、
付け加えさせていただきます。