新郎新婦のご両親が離婚している、
そういうケースも珍しくありません。
そして、そのようなケースでは、
ほとんどと言っても良いほど、
みなさん悩んでいるようです。
中でも一番の悩みは、
やはり出席のこと。
父と母は別れてしまっていても、
自分の父親であること、
自分の母親であること、
それは一生変わりません。
自分の命を、
この世に授けてくれた両親。
父親にも、
母親にも、
晴れ姿を見て欲しい…
それはきっと、
ご両親にとっても同じ。
しかし、
そうは思っても、
簡単にはいかないことも、
少なくありません。
ご両親がいつ離婚したのか、
どちらに育てられたのか、
現在の関係性はどうなのか、
ご両親は再婚しているのか、
父と母の交流はあるのか、
両親の離婚理由は何なのか…etc
様々なことから、
ご両親ともに出席して貰うことを、
諦めなくてはならない人も、
大勢いるようです。
あなたが親だったら、
あなたが息子・娘だったら、
どうしますか?
真由子さん(仮名)のご両親は、
真由子さんが小学生の時に、
離婚されました。
お母様に好きな人ができ、
ご両親は離婚、
真由子さんは、
お父様に引き取られました。
離婚から2年が経った頃、
お母様が再婚し、
真由子さんが成人式を迎えた年に、
お父様も再婚しました。
つまり、
現在は、お父様もお母様も、
それぞれ新しい家庭を築いています。
真由子さんは、
家を出て行ってしまったお母様に、
恨みと憎しみしかなく、
会うことも、
連絡を取ることさえも、
拒み続けて来ました。
私には、
お父さんだけいればいい、
そう思っていました。
しかし、
お父様が再婚し、
自分にも彼ができた頃から、
折に触れ、お母様のことを、
考えるようになったのです。
そして、
彼との結婚が決まった時、
「お母さんにも出席して欲しい…」
お父様にそう告げました。
反対されると覚悟していましたが、
お父様は、
「やっと真由子も、
お母さんのこと、
許してあげられる日が来たんだね」
と、嬉しそうに言ってくれたのです。
実は、お父様とお母様は、
離婚してからも、
ずっと連絡を取り合っていました。
娘のことを何より心配していたお母様に、
お父様は、真由子さんの様子を、
報告し続けていたそうです。
ですから、
真由子さんに彼氏ができたことも、
そろそろ結婚することも、
お母様はご存知でした。
そして、
「真由子が許してくれるなら、
結婚式に出席したい…」
そう話していたのだそうです。
♡
結婚式当日、
母と娘の願いが叶いました。
義理のお母様は、
「私は欠席するから…」と、
申し出てくださったそうで、
お父様とお母様は、
ちゃんと両親席に並んで座りました。
お母様は再婚しているので、
当然、苗字が変わっていますが、
その日は、旧姓で出席されました。
つまり、
事情を知らない人には、
お父様とお母様が離婚したことは、
全くわかりません。
花嫁のお手紙で、真由子さんは、
ご両親が離婚される前の、
楽しかった思い出を振り返ったあと、
こう結びました。
「お父さんとお母さんが、
結婚してくれて本当に良かった。
私を産んでくれてありがとう。
私は、
お父さんのことも、
お母さんのことも、
大好きです」と。
♡
このケースは、
ご両親のみならず、
ご親族の温かな想いがあったこからこそ、
叶えることができました。
ところが実際には、
その願いが叶わない方が、
多いことでしょう。
しかし、
たとえ出席が叶わなかったとしても、
親が子を想う心、
子が親を想う心は、
何より深く、強いものだと思います。
困難な状況の中でも、
それぞれの親子にとって、
最良の方法を探して欲しい…
ご両親にとっても、
息子さん・娘さんにとっても、
素晴らしい結婚式となりますことを、
心から願ってやみません。
※本文中の内容は、
事実に基づくフィクションです。