結婚式を目前にした新郎新婦。
これまでの人生で、
一番幸せな時期と言えるでしょう。
しかし、
人間の心は、繊細かつ複雑なもの。
マリッジブルーを経験している女性は、
7割とも、8割とも、
言われています。
二人で育んできた愛が、
実を結ぼうとしているまさにその時、
悲しい道の方を選択してしまう人も。
あなたは、
そして、
あなたの愛する人は、
こんな気持ちになっていませんか?
友加里さん(仮名)29歳は、
2年前、友人の紹介で、
一つ年上の浩孝さん(仮名)と出逢い、
ちょうど一周年の記念日に、
プロポーズをされました。
それからは結婚情報誌を読み漁り、
インターネットを念入りにチェックし、
ホテルや結婚式場も、
たくさん見て回りました。
結婚式当日を思い描きながら、
それは楽しく幸せな時間を共有していました。
ところが式場が決まり、
詳細の打ち合わせがスタートすると、
次第に彼の態度に、
変化が感じられるようになっていきました。
例えば衣装選びの日はこんな調子でした。
「ごめん、俺、急な仕事が入って、
行かれなくなっちゃったんだ。
ドレスは、自分が気に入ったものにすればいいよ。
友加里はスタイルいいし、美人だし、
何でも似合うよ。
どうしても心配なら、
お母さんについて行って貰えば?
あっ、ついでに俺の衣装も決めちゃって。
友加里はセンスがイイから、
安心して任せられるよね。
よろしく〜。」
その後も似たようなことが繰り返されました。
「素敵な結婚式にしようねって、
あなたも言ったよね?
あれ、嘘だったの?
何で協力してくれないの?
結婚式なんて、どうでもいいの?」
友加里さんの心の中には、
苛立ち、怒り、悲しさ、寂しさ…など
幸せな想い以外の感情が、
どんどん湧き上がるようになりました。
友加里さんの顔からは、
幸せな表情や笑顔が消えていき、
やがて、
声を荒らげることも、
反論することも、
彼に期待することもなくなりました。
「結婚式も、結婚も、
両方やめたい…」
同じ頃、彼は友人にこんな話をしていました。
「男にも、マリッジブルーってあるのかな?
結婚式場を見て回って、
ああしよう、こうしたい、そう考えていた時は、
本当に楽しかったんだ。
友加里が幸せそうにはしゃいでいる姿を見て、
可愛いなって思ったし、
彼女が喜んでくれるなら、
何でもしてあげようって思った。
それがさあ、
具体的なことを決めるようになったら、
熱くなっていた感情が、
スーッと冷めていくような気がしたんだよね。
夢の世界から、
現実の世界に引き戻されたっていうのかな。
つまり会社の業務をこなしているのと、
全く同じ感じなんだよね。
最近は、彼女に任せっきりになっちゃってて、
悪いなあとは思うんだけど…。」
それを聞いた友人は、
厳しい口調で、こう告げたのです。
「それってマリッジブルーじゃないでしょ!
ただの、現・実・逃・避。
心配なのは、
浩孝じゃなくて、友加里ちゃんの方だよ。
彼女のこと、
ちゃんと見てるか?
彼女の気持ち、
ちゃんと考えてあげてるのか?
今、現実をしっかり受けとめないと、
取り返しのつかないことになるぞ!」
友人の言う通りでした。
危うく取り返しのつかないことになるところでした。
友加里さんは当時の自分を振り返り、
こう語りました。
「マリッジブルーというよりも、
まるで鬱病のようでした」と。
友人の一言が、
二人の危機を救ってくれました。
そして迎えた結婚式当日、
二人は最高に幸せな笑顔を見せてくれました。
確かに男性にも、
マリッジブルーはあるそうです。
もしかしたら浩孝さんの場合も、
マリッジブルーだったのかもしれません。
夢を見るのは楽しい。
でも大切なのは、
幸せな夢をたくさん見ることではなく、
いかに現実を、
幸せな世界に作り上げていくか…
ではないでしょうか?
せっかく運命の人と、
出逢うことができたのです。
しっかりと手を繋いで、
一緒に歩いて行って欲しいと思います。
どんな時も、
そして、いつまでも…。
※本文中のエピソードは、
事実に基づくフィクションです。